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幻想のセラリウス  作者: ふたばみつき
-新たなる任務-
87/95

☆85 昼下がりのコーヒーブレイク

 先程までの天気は姿を変え、灰色の雲が空を埋め尽くす。

 雨の臭いが辺りに立ち込め、今にも雨が降りそうな雰囲気が辺りを包む。


「御待たせしました。ミルクティーとコーヒーをお持ちしました。それではどうぞごゆっくり」

「どうもありがとう」


 美青年はウエイトレスに笑顔を向けて一礼する。その色気に吊られ、ウエイトレスが頬を赤らめる。


 おーおー、見せてくれるじゃねーの。


 ウエイトレスが恥じらいの表情を浮かべながら立ち去ると、それを見守っていた美青年はこちらに向き直った。


「どうしたんだい。そんなに僕を見詰めて。ジェラシーかい?」


 なんか、突然色男面をし始めている。残念なことに、俺の中では色物芸人枠なので、コーヒーを鼻で飲んだりし始めないかと期待してたりする。


「だからよー。さっきから何度も言ってるがオメー何者なんだ?」


 俺の言葉に、美青年はやっと神妙な面持ちを作る、そして、先程運ばれてきたコーヒーを啜る。

 俺も取り敢えずミルクティーをすする。うん上手い、いい香りがする。茶葉がいい。


 すると、彼がおもむろに口を開いた。


「僕は黒の師団。師団長ジェイソン・ブラック」

「ぶほっ!!」


 思っくそ、ミルクティーを吹き出してしまった。

 見ると、目の前の男は無様にもミルクティーまみれになったている。


「テメー、このヤロー。良くも俺の目の前にはミルクティーだらけの顔をだせたな!!」

「いや、ミルクティーだらけにしたのは君だからね!」


 すると、コートの内ポケットからハンケチを取り出し、ミルクティーを拭った。


 どうする、ここでおっ始めるか!?

 迷いながらも、剣に手をかける。


「ああ、お待ち下さい。今日は貴女と刃を交えに来たのではありません。是非とも、その手をお納め下さい」

「テメー、抜く抜けと……」


 男はおまむろに店内を指差す。その方向に目をやると数人の客が座っている。

 何事かと、コチラを見ている人もいる。


「ね? ここには民間人もおりますし。貴女も本意ではないでしょ?」

「テメー……」

 

 おもむろい男程度に思っていたが完全にハメラレた、油断した。

 やっぱり、知らない人と喋っちゃいけねーな。


 俺は渋々と席につく。


「ああ、よかった。貴女が話のわかる方で安心しましたよ。面白くて話の通じる方は大好きです」

「おもしれーのはオメーだろ」


 俺の言葉を聞いて、その整った顔立ちが不敵にニヤリと笑った。


「そう言ってくれると僕は嬉しいですね。さて、それでは本題に移りましょう」


 真紅の瞳が俺を見る。

 品定めする様に、俺の全身をゆっくりと眺める。


 その視線にわずかに嫌悪感を覚える。

 コイツ、俺の事を若干性的な目で見てやがるな。


 なんとなく、だがわかるぞ。


 まあ、ドッグやロックにはそう言う毛が無いかと言ったら嘘にはなるが、ちゃんと本人が自制しているのを感じるから嫌悪感は余りない。


 だが、コイツはそう言った自制の念が感じられない。まるで、旨そうな飯でも見るようにコチラを眺めてくる。


「アルルさん。貴女、黒の師団に来ませんか?」

「……それが、テメーの目的か?」


 まったく、馬鹿馬鹿しい。

 俺が黒の師団になんて行く訳ねーだろ。


「あり得ない話ではありませんよ。それに貴女の白の師団での立場からしたら、こちらに写るのは悪い話ではありませんよね?」

「馬鹿馬鹿しい。テメー、寝言は……」


 その時、ある違和感が頭を過る。

 なんで、コイツは俺の事を知ってた? それに、なんで俺の白の師団での立場も知っていた?


 まさか……


「おい待て、まさか、白の師団に裏切り者がいるのか?」


 俺の言葉を聞いて、その整った顔面が不敵に歪んだ。

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