☆82 しばしの休養
どうやら、我々は有耶無耶にする事には失敗したが、口封じには成功したらしい。
アレ以来、何か因縁を付けりたりする事もなく平穏に暮らせている。
暮らしてしまっている。
「な、なあ…… そろそろ出発しても良いんじゃねぇか?」
「駄目だね、俺が許さん。三日は様子を見ると言っただろ?」
「ああ、それには僕も賛成だ、もう二日立ったんだ、後一日くらい我慢しろ」
あの出来事から既に二日が立っている。
俺は既に全快バリバリなんだが、何故か男衆が出発を頑なに認めない。急ぐんじゃなかったのかよ……
ちゃっとコイツらは過保護過ぎるって……
そして……
「そうですよ、アルルさん、もう一日休むべきです……」
コイツの名前はヒイロ。俺が出発出来ない理由を作った張本人だ。
コイツにスコーン!! って頭にブチ抜かれた。
あの日以来、なんか他の感情も有るように感じるが、主に罪悪感から俺達の世話をしてる。
「本当にあの時は……」
「もういい!! 喋るな、やかましい!! もう百回聞いた!!」
もうずっとこんな感じである、流石の俺も参る。
勘弁してくれよ、マジで……
「はあ……」
「どうした? 頭痛でもするか?」
そう言うとロックが俺のオデコに手を当てる。
もうマジでなんなの? お姫様か何かか俺は?
「アルル、少し横になるか?」
最後の頼みの綱のドッグまでこの調子だある。
今にも俺をお姫様抱っこしようとスタンバイしてる。
妖怪お姫様抱っこである。
「大丈夫、大丈夫だから。少し、一人にしてくれねーか!! ちょっと、この扱いは気が滅入る。悪かったと思ってるから、今まで通り接してくれ」
「アルル、今まで通りって言っても、俺らはまだ会って間もない。つまり、これが今まで通りだ、違うか?」
「僕は、君が倒れたら当分は優しくするようにしてる。だから何時も通りだ」
なんだコイツら、なんで息ピッタリなんだ?
打ち合わせ通りなのか?
くそ、このままでは不味い。
このまはまでは、甘やかされたまま府抜になってしまう。
「と、兎に角。今日は一人で行動させてくれ。運動とかもしない。歩くだけ。どっかの喫茶店とかで紅茶を飲むだけ、それだけ、それだけでいいから、一人にさせてくれ!」
二人が渋い顔を作る。
やがて、お互いに耳打ちをしてヒソヒソ話を始める。
この二人何時からそんな仲良くなったんだ?
「わかった、君の重要行動を許そう」
ドッグが渋々ながらも頷いてくれた。
よかった、これで自由の身だ……
「パパが許すから良いけど、本当はママ反対ですからね」
ロックが意味のわからない事を言っている。
何時から、この二人は婚姻関係を結んでたんだ?
あと、なんでロックがママなんだよ。見た感じ、ママはドッグだろーがよ……
あれ? ちょっと待てよ、そう言う問題ではないような?
不味い、完全にコイツらのペースに巻き込まれている!!
と、兎に角、一刻も早くこの空間から逃げ出さねば。
俺は早足で歩くとギルドを出て海の方へと向かった。




