☆68 再び旅立ち
空は晴れて、雲が舞う。
風吹く街並みに、旅立ちを待つ。
旅支度を済ませた私はホワイト・ロックの街外れで、空を眺めていた。
全く持って部不相応な任務。
言うならば、空が落ちてくるのではないか、そんな不安が頭を過るのが普通なのだろう。
だが、まあ、私の性格は結構単純だったりする。
どうせ、大変だし、問題も山積みだ、厄介事や、トラブルだって死ぬほど起きる。
多分、冗談抜きで死の危険だって降りかかってくる。
だったらもう、全部覚悟して全力で迎え撃ってやればいい。駄目だったら駄目だったらで、命乞いでも何でもしてやる。
もう、それでいい。
私はそう言う奴だ。
「アルルちゃん。身体の調子はどうですか?」
見ると、クオンさんが私の剣は隣にいた。
いつの間にいたのだろうか、気配が全くしなかった。
「は、はい。かかってくる二日間ゆっくり休んだんでバッチリです」
私がそう言うと彼女は笑った。
私の少し後ろにいたライルくんを見ると、その目を丸くして驚いている。
恐らく、彼も気づいていなかったのだろう。
その隣にいるロックさんは、気にもしてないと言ったようすでこちらを見ている。
彼は気がついていたのだろうか。
「気がついているのでしょうが。協定を望まない組織もあります。恐らく、そう言った手合いからの襲撃は必ずあるでしょう」
うん、流石にそれは考えている。
なのて、私は彼女に向けて頷いてみせる。
「いいこですね。もし襲撃された場合。その組織を出来る限り突き止めてください。十中八九、その組織は帝国にも刺客を放っています。なので、直ぐに伝令を飛ばして協定の邪魔をする組織を帝国に知らせてください」
彼女の言葉に黙って頷く。
確かに、そう言った情報の共有は大事だよね。
「それから、この先にはスラン・ベリスと言う港街があります。そこで陸路か海路か臨機応変に旅路を選んでください」
そろそろ、私の頭がパンクしそうだけど、頷きながら、頑張って聞いてみる。
そろそろ、終わりかな。
そう思ったが、まだ彼女の言葉に続く。
「それと、貴女は幾つかの街を経由することになります。そこでの宿はギルドが用意してくれます」
はあ、ギルドね、あの良くある奴ね。
「貴女は白の師団の隊長です。ギルドでの等級はAランク相当となります。あまり、道草を喰うのは頂けませんが、大事があったら、彼等を助けてあげて下さい」
め、めんどくせぇ~
部不相応な任務を任された植えに、地方の厄介後との解決も任されたのかよ。
「それと、黒の師団本拠地を探す任務も忘れないように……」
うわ、ぶっちゃけ忘れてたわ……
そう言うや、そう言う任務も任されてたわ……
思わず溜め息が漏れてしまう……
「ふふ、そう暗い顔をしないで。可愛い顔が台無しですよ」
うむむ、可愛い顔が台無しか……
でも、台無しに成らざる負えない状況なんですけどね。基本、白の師団のせいで……
「おい、アルル!!」
その時、後ろからライルくんの声が聞こえた。
振り返って見ると、そこには幾人かだが、人だかりが出来ていた。
なんだか、見覚えのある人達だ……
それに、よく知っている顔もある……
「お姉ちゃん!!」
そう言いながら、こちらに小走りでやって来たのは一人の少女だ……
私は膝をついて、彼女と視線を合わて会話をした。
「メイちゃん、元気だった!?」




