表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想のセラリウス  作者: ふたばみつき
-また?新たなる旅立ち-
58/95

☆57 ロック

「こちらこそ、よろしく頼むぜ」


 俺は彼に負けんばかりの爽やかな笑顔で応えてみせた。


「あれ?」


 不意に彼の背に大きな剣が背負われている事に気付いた。

 それは……


「ん、ああ、これか……」


 そう呟くと、彼は背中の大剣を勢い良く引き抜いて見せた。


 やはりそうだ、それは前回戦ったオーガ的な奴が持ってた剣だ。

 持ってきちゃったのかな?


 俺の表情を察して、ドッグが口を開いた。


「どうやら、あの大剣は元々は彼の物だったらしい」


 ああ、成る程……


 どうりで、あのオーガ擬きが待ってるにしては、綺麗に手入れされてる良い剣だと思った。


 彼は剣を背に戻すと、おもむろに口を開いた。


「本当にすまねぇ。あんた等に余計な負担を掛けさせちまって」


 彼はそう言うと、申し訳なさそうに頭を下げた。


「別に良いんだよ。オメーだって戦ってくれたじゃねーか!」

「ああ。まあ、そう言って貰えると助かるよ……」


 彼は再び頭を下げる。


 どうやら、気安い感じの人だが、かなり律儀な人らしい。

 さっぱりとした、武人気質な人と言う奴だろうか。

 俺がのほほ~んと思いを巡らせているとドッグが彼に問いかけた。


「ところでロックさん。貴方はどうして、あんな所に?」

「ん? ああ、このホワイト・ロックに来る途中だったんだ」


 ほぇ~ そうなんだぁ~

 なんだろ、入団後希望かな~?

 

「なるほど、どんなご用で来たんだい。良ければ上に取り次ぐが?」

「いや、それはいい。一応、馴染みがいるんで、ソイツに頼むよ」


 へぇ~ 知り合いがいるんだぁ~

 誰だろぉ~


「なるほど、幹部に知り合いが居るとは、貴方は一体何者なんだ?」


 俺を他所に、二人でやり取り進められる。


 取り敢えず、俺は疲れたのでお布団に入って横になる事に決めた。

 それにしても、なんか最近、横になってばっかりだな、俺。


「んあ、言わなかったか? 俺はレイム・ロックの騎士だぜ……」

「な、なんだって!?」


 ドッグが驚愕の声を上げて後退った。

 なんだなんだ、話が全くわからんぞい。


「どうしたんだ、ドッグ?」

「き、君はレイム・ロックも知らんのか?」


 ドッグが目を丸くしてこちらを見た。

 取り敢えず、俺は首をかしげてみる。


 その様子を見て、ロックが大声で笑いだした。


「はははは。この娘はとことん面白いな!!」


 見ると、ドッグが頭を抱えながら呆れている。

  

 しかし、直ぐに気を取り直したのか、眼鏡を掛け直して見せた。

 そして、俺に向かっておもむろに語りだした。


「レイム・ロックは国の運営を騎士達が取り持っている騎士国家だ。つまり、そこの騎士様は政治中枢に関わる者。簡単に言うと官僚と言う事だぞ。そして、それがホワイト・ロックに来たと言う事は、彼はレイム・ロックからのの大使と言っても過言ではないんだぞ!」


「ほえ~ 騎士様って、すごいんだな!」

「へぇ~、そうだったのか騎士様って!」


 俺は仕方ないとして、何故かロックも、俺と大して変わらない反応を示した

 もしかしたら、俺達は似た者同士なのかもしれない。

 もはや、兄弟か何かかも……


「いや、なんで本人である、君が知らないんだ!!」

「ははは、すまねぇすまねぇ!! どちらかと言うと俺は武官よりでね。細かい事はさっぱりでよ!!」


 そう言うと、彼は再び大声で笑った。

 その様子を見て、ドッグが呆れた様子で溜め息を吐いた。


 そして、彼をギロリと睨んだ。

 

「まあ、いい! そうとわかったなら話は別だ。直ぐに上に連れて行く!! いいな!!」

「おおう、わかったわかったよ。それじゃあなアルル!」


 すると、二人は慌ただしい様子で俺の部屋を後にした。


 て言うか俺、中身が男とは言え、女の子なんですけど。

 なに普通にズカズカと乙女の部屋に入ってるんですか、あの人達?


 冷静に考えるとヤバくね!?


「それと、アルル!!」

「は、はいぃぃ!!」


 突然、部屋のドアが開きドッグが顔を出した。


「盗賊の件は僕から上に報告しておくから、君は休んでいてくれ。しっかり休むのも仕事の内だからな!」

「は、はい!!」


 俺の返事を聞くとドッグは満足げに頷き、部屋の扉を閉めた。


 うわぁ、ビックリした……

 でも、と言うことは……


 まだ寝てていいんだぁ……

 やったぁ!! 嬉しいなぁ!!


 なんだか、ドッグも俺の事を甘やかしてくれるし!!

 もしかして、アイツ、俺の事好きかぁ!?


 やだなぁもぉ!!

 さぁ、じゃあ寝るかぁ!!


 あ、そうだ、剣の手入れもしなきゃ!

 せっかく、クオンパイセンに頂いた剣だ、大切にしなくちゃな!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ