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幻想のセラリウス  作者: ふたばみつき
-新たなる旅立ち-
53/95

★52 蒼い騎士【挿し絵あり】

《術式展開》


 彼女がそう呟く……


 その瞬間、視界の端で蒼白い光が弾ける。

 思わず彼女の方を振り向く。


 彼女の姿が僕の目に飛び込む。


 蒼白い稲光がアルルを包み、その光が彼女の染め上げて行く。


 薄い緑色の髪は、薄い青色に発色するプラチナブロンドに染められ。


 彼女の、大きなその瞳は青く輝き出し、宝石の青玉を思わせる物へと変色して行く。


挿絵(By みてみん)


 そして、その手に握られた剣も蒼白い光を増していき、小さな稲光が弾け、小刻みに破裂音を発している。


「アルル…… そ、その姿……」


 僕の言葉なんて、聞く余地も無く、彼女が跳躍する。


 彼女は凄まじい速さで移動し、あっと言う間に盗賊の懐に飛び込んだ。


 次の瞬間には盗賊は切り伏せられ、地面へと倒れる最中だった。


 な、なんと言う早業だろうか。と言うより、彼女はあれほどの早さで動くことが出来たのか!?


 その様は正に流星。

 あまりの出来事に、僕は言葉を失う。


「な、なんだテメェら!!」


 一人の盗賊がそう口にした瞬間、彼女が剣を投擲する。


 大した力も入れていない、そう思える程に軽々しく投げた剣は、その様とは裏腹に、凄まじい勢いで、しかも真っ直ぐに盗賊へと飛んでいった。


「あぐっ!!」


 盗賊の苦悶の声が上がる。

 見ると、剣は盗賊の肩に深々と突き刺さっている。


「返して貰うぜ!」


 その言葉をアルルが吐いた時には、すでに距離を詰めていたアルルが、剣の柄を握り、そのまま盗賊を切り捨てて見せた。


 あと三人……


 彼女は所持していた、もう一本剣を引き抜き様に投げる。


 先程と同様に、軽く投げただけに見えるが、それは一直線に標的へと向かって行き、深々と刺さった。


 残り二人……


 彼女はもう一本の剣を投げる。


 しかし、これは盗賊が咄嗟に腕で防いで見せた。

 盗賊の腕に剣の切っ先が突き刺さる。


「ぐっ、くそッ!!」


 盗賊は苦悶の表情を浮かべながら、自らに刺さった剣を引き抜く。


 その時、アルルは人差し指で、その盗賊を指差した。


《雷の書 四章 指雷》


 その詠唱と共に、彼女の指先から蒼白い稲光が放たれ、それは一直線に盗賊へと向かう。


 本当に初級も初級の魔術《指雷》。


 しかし、それは彼女の手に掛かっては、十二分に人を無力化する事の出来る魔術に仕上がっている。


 それは剣の柄を避雷針にする様にして、盗賊に直撃した。


 凄まじい破裂音と共に、盗賊の断末魔の声が響く。


 残りの一人……


 しかし、その最後の一人にも直ぐ様に彼女が飛びかかった。すると、独りでに二本の剣が動き出し、彼女の手元へと中を飛んで帰って行ったのだ。


 彼女は手に剣が戻ると、すかさず片方の剣を投擲する。


 盗賊も先程までの戦いを見ているので、直接受けるのは不味かろうも思ったのか、持っていたナイフで襲い掛かってくる剣を弾いて見せた。


 その隙に彼女はがら空きになった懐に飛び込み、剣を振るった。


 鮮血が飛ぶ。


 それとも同時に、最後の盗賊が地面へと倒れた。


「ふぅ、なんとかなるもんだな……」


 そう言うと、アルルは笑みをこちらに向けながら、剣を納めた。


 すると、それを合図にするかの様に、稲光は収まり、彼女の見た目も元に戻って行った。

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