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幻想のセラリウス  作者: ふたばみつき
-過ぎ行くは日常は友と共に-
31/95

☆30 悪夢

 今でも、あの頃を夢を見る。


 酷く生臭いニオイがする裏路地。そこで俺は、ボロボロの貫頭衣の様な物を纏って立っている。


 ああ、何時もの悪夢だ…⁉️


 そして、俺はどこに行けばいいのかと、回りをキョロキョロ見渡している。


 ふと、通路の先を見ると建物と建物の合間から賑やかな街並が視界に映った。

 だけど、何故だかそっちには行ってはいけないような気がした。


 俺は、そっちに行きたいのに……

 こんな裏路地ではなく……

 あっちの夢の様な世界へ……


 背後から、生臭いニオイが更に強くなったように感じた。

 振り向くと、暗闇の中から人間の手が姿を現した。


 その手は所々に吹き出物があり。土なのか、泥なのか、その正体はわからないが、とても汚れていた。


 その手は俺の頬を優しく撫でる。その手は生暖かく、気持ちの悪い湿り気を帯びていて。

 それと同時にひときわ生臭いニオイが鼻を襲ってきた。

 その時、俺は恐怖とも嗚咽ともつかない物が腹の奥からせりあがって来た。


 恐怖で身体がすくむ……

 身体が固まり、動かなくなる……


 誰か、助けて……


 ああ、なんて悪夢だ……


 もう、何年も経つのに未だに、この恐怖と悪夢に縛られている。


 恐怖が身体を包む、恐怖が身体に流れ込む、恐怖が身体を支配する……


 嫌だ……


「いやぁぁぁ!!」


 自分の叫び声を頼りに夢をぶっ壊す。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 酷い汗が身体中を包んでいる。

 何故だが、何時も通りの自室のはずなのに、酷く暗く感じる。

 少し怖い……


「まったく、最悪だ……」


 汗で濡れた布団を身体に巻き、恐怖で震える身体を抑え、暗闇の中を過ごす。


 一人の夜がこんなにも辛いなんて……

 こんな夜、誰かが側に居てくれたなら……


 ああ、誰かの温もりが欲しい……

 ああ、誰かに抱き締めてもらいたい……


 そんな思いが頭を過る。

 糞がッ!!


「ふざけんじゃねーぞ……」


 俺は……

 俺は男だ……

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