表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想のセラリウス  作者: ふたばみつき
-闘争それはある日突然に-
25/95

☆24 術式【挿し絵あり】

 目の前で黒い剣が浮いている。


 そう、まるで何者かが持っているかのように、宙に浮かんでいる。


 無論、これは俺が倒した“黒の師団”の団員が装備していた黒い剣だ。

 これがメリットの一つ目。俺の“魔術”を受けた者の装備が、俺の支配下になる、と言うものだ。


 ただ、生きてる相手から武器を奪い取る、と言った芸当はまだ出来ない。だが、死んでる相手からなら問題は無い。


 彼等は俺の“魔術”をもろに受けて死んでいる。

 つまり、条件はバッチリ揃っている。 

 

 そして、2つ目のメリットが先程起きた現象だ。

 この剣に磁力を纏わせ支配するのはいいが、この磁力を纏った剣の向かう先がない。的が必要だ、同じく磁力を纏った的が……

 プラスならばマイナス。マイナスならばプラス。と言った様に引かれ合う的が……


 実はそれが目の前にあるんだ……


 先程から、俺をボカスカと殴っていた鉄棍。

 それは俺の《アッガイの衣》に触れている。


 勿論、この《アッガイの衣》にも“術式”の一部が組み込まれてる。これに触れた物は磁力を帯びて“術式”の支配下へと入る。


 そう、つまり“術式”が生きる条件は幸か不運か揃っているんだ。


 俺は宙に浮いていた剣を手に取り、強く握り締め剣に魔力を込める。

 正しくは、剣に宿った磁力に“魔力”を込めているのだが、この際どちらでもよい。


挿絵(By みてみん)


 とにかく、これで剣に宿る磁力が更に増す。

 

 すると、剣は独りでに男が持つ鉄棍目掛けて飛んで行く。

 俺はその剣に引っ張られ、誘われる様にして男の懐へと潜り込む。


 なるだけ、剣の挙動を邪魔しないように……


 しかし、男もただ突っ立ている訳もなく。こちらの握った剣を反射的に弾いてみせた。


「甘いわよ! 魔術師がアタシ等戦士に勝てると思ってるの!? 舐めないでちょうだい!」


 先程、剣を弾いた鉄棍を直ぐ様ひるがえし、凄まじい勢いでコチラに向かって振り下ろして来た。

 舐めて貰っては困るのはこちらの方だ……


 剣にもう一度魔力を流し込む。


 すると、剣は凄まじい勢いで鉄棍へと向かって行き、その勢いのまま衝突し甲高い金属音を響かせた。

 

 瞬時に、“魔力”を剣へと流し込むのを止め、後ろへと後退する。


 こうしないと、磁力でお互いの得物がくっついてしまう。

 くっつたら力押しで潰されるかもしれないので、瞬時に引き下がる必要がある。


 あと、こうしないと俺が何をしてるかバレる可能性がある。

 ぶっちゃけ、バレた所でこの“術式”は汎用性が売りだから、大して問題ではないが、一応は用心はしておく。


 これで傍目からは見れば、魔術師の癖に、俺がこの男と剣で互角に渡り合っている様に見えるだろう。


 彼本人は若干の違和感が有るかもしれないが、それは仕方がない。

 先程も言った様に、汎用性が売りの“術式”なので、バレても関係ねー。


「驚いたわね、アナタ。魔術師にしておくには惜しいわね」


 よしよし、どうやらバレてねーみたいだ。

 いいぞ、“術式”も思ったより上手く起動してる。


 魔力のオンオフも、強弱の調節も悪くない。初めてにしては上出来だ。

 これならば戦える。なんなら勝てるかもしれねー。


 よし、行くぜー!

 これからが正念場だ!!


 剣に魔力を流し込み。今一度、磁力の勢いに身を任せたまま男の懐へと飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ