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幻想のセラリウス  作者: ふたばみつき
-闘争それはある日突然に-
17/95

☆16 編成

 俺達は教室の前へと再びたどり着いた。

 しかし、そこは先程と変わりなく、不穏な雰囲気が当たりに立ち込めていた。


 彼等は師範の姿を目にした瞬間、人だかりごと師範の元へと雪崩れ込んで来た。

 先程と状態は変わらないと思ったが、どうやら先程よりもパニック状態は酷くなっているみたいだ。


「鎮まらんか!!」


 候補生達の雪崩を、師範が怒声で沈めてみせた。

 凄まじい轟音だ。


「君達も候補生とは言え、白の師団の一員なんだ。こう言う時だからこそ冷静になりなさい!」


 師範の声に候補生達の数人が我に返り。師範にその視線を向けた。

 顔を下げていた者は顔を上げ。キョロキョロと視点の定まらない者は師範へと視線を向けた。


 冷静さを取り戻した候補生達の態度は徐々に伝染して行き、候補生全体に冷静さを浸透させて行った。


 その様子を見届けると、師範が声を発した。


「今、ここにいる候補生は二個の隊に分け、民間人の避難誘導に向かって貰う。いいか!?」


 師範の問い掛けに、候補生一同が頷いた。

 明らかに士気が回復しはじめている。やはり、彼等も“白の師団”の一員と言う自覚があるのだろう。

 師範の問い掛けを聞いてから、明らかに皆の目の色が変わった。

 

「よし!! いいか、団員番号が奇数の者と偶数の者で隊を分け。ここのハウンズとアルルに指揮を取ってもらう。ハウンズの元に偶数番号の者。アルルの元に奇数番号の者だ。さあ、並べ!!」


 候補生達が少しばかりざわつきを見せたが、直ぐ様師範が言った様に列が作られた。


 俺の前に三十人程度の候補生が並んだ。

 その中には先日、俺に絡んで来たコカトリス頭も居た。


 果たして、これが吉出るか、それとも凶と出るか……


「よし、君達は各々ハウンズとアルルの指示に従うように。それと私に何人か着いて来て欲しい。そうだな、そこの君と君と……」


 師範が、俺達の隊の中から候補生を交互に選んで行った。

 てきとうに選んでる様に見えるが、恐らく最初に冷静さを取り戻した何人かを選別していのだろう。


「君達は私と一緒に前線まで向かい、そこで民間人の避難誘導をして貰う。そして、それが終わり次第、前線を離脱。ハウンズとアルルの隊に戻れ」


 なるほど、そう言うことか……


 どうやら、師範は徹底して俺達に交戦させないつもりらしい。

 先ず、第一に民間人の避難を優先。

 次には、俺達の身の安全を優先、と言うことだろう。


「よし、では戦況はハウンズとアルルに伝えてある。私は直ぐに前線へと向かう。先程の指名した者達は私に着いて来なさい」


 そう言うと師範がローブを翻し、颯爽と歩き出した。

 

 よし……


「俺達も行くぞ。途中まで師範達と行くが、前線に入ったら直ぐに民間人の避難に移る」


 そう言って、俺もローブを翻し歩き出し歩き出す。


「民間人達には、このホワイト・ロックまで避難するように伝えろ。あと、戦況は歩きながら説明するから、ちゃんと聞いてるんだぞ!」


 俺の後をぞろぞろと着いてくる足音がする。この土壇場で俺が指揮を執る事に駄々をこねる奴は流石にいないか…… 

 

 流石にコカトリス頭もそこまで馬鹿じゃなかったらしい。

 正直、そこは少し不安だったが、ひと安心だ。


 とにかく、第一に民間人の避難。

 第二に戦闘は極力避ける、これだけは皆に伝えなくては……


 大丈夫、これだけ伝えれば、皆もある程度動いてくれるはず。

 大丈夫、大丈夫だ、最前線では師範が敵を塞き止めてくれるはず。

 よし。それも皆に伝えよう。そしたらきっと皆の士気も上がるはずだ。


「全員いいかー!!」


 声を張り上げ僅かに後ろを振り向く。

 皆、着いて来てくれているし、俺の声に耳を傾けている。


 あのコカトリス頭もだ……


「“黒の師団”は郊外の外れに出没。その規模は凡そ中退規模、およそ二百。それに“白の師団”が五百の軍勢で迎撃中だ。地の利もこっちに有る。こちら側が負ける可能性は低い!」


 俺の声を聞いて、明らかに何人かの候補生が胸を撫で下ろした。


 皆、考えることは同じらしい……

 

「俺達の任務は、先程言ったように民間人の避難誘導だ。師範自身が最前線で“黒の師団”を塞き止めてくれるから、俺達が“黒の師団”との交戦する可能性は限りなく低い。その間で、俺達は民間人の避難誘導に集中し、可能な限り避難させる!!」


 戦況がこちらに有利であるとわかったからか、皆の表情に明らかな余裕が出て来ている。かといって油断していると言った感じでもない。


 恐らく、これがいい塩梅だろう。


「よし、全員準備はいいか!」


 そう叫ぶと一同が頷くいた。

 俺はそれを見ると、戦場へと一歩を踏み出した。

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