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幻想のセラリウス  作者: ふたばみつき
-日常それは白昼夢の様に-
11/95

☆10 魔術の授業

 俺の意識を睡魔が襲う。

 船を漕いでいるのが自分でもわかる。


 途切れ途切れ、意識を失う。


 その度にドッグに脇腹をつつかれ、我に帰る。

 なんとか、意識を集結させ、授業に挑むが、睡魔はその度に俺を襲ってくる。


 そんな最中、先生の声が耳と頭に響く。


「我々、“白の師団”では、それぞれの“属性”に対し“魔導書”が存在し。そこには一章から百章に及ぶ様々な“魔術”が記載されています。これらは後半の章になる程、高位で強力な術となっています」


 栗色の長い髪をした女性が黒板を叩く。

 

「これには一章毎に個別の“詠唱”が用意されており。内容は“魔術”を行使する為に必要なイメージを呼び起こす文言となっています。これに“魔力”を流すことで“言霊”と成し“魔術”として行使する形になります」


 栗色の長い髪が揺れる度に、彼女の豊満な胸が揺れる。

 それを目にして、更に眠気に誘われる。


「主に一章から九章までが“基礎魔術”。十章から十九章が“応用魔術”となります。貴方達は正式な団員になるまでに少なくとも、どれかの属性をこの位までは修めて下さい」


 彼女の名前はウルララ。

 二十代で白の師団の講師となった天才だ。

 白を薄い紫で装飾したケープとワンピースを纏った可愛らしい格好をしている。

 そのケープから覗く大きな胸が揺れる。


「二十章から三十九章が“初級魔術”。四十章から七十九章が“中級魔術”。八十から百が“上級魔術”と言う区分になっています」


 彼女の教鞭が熱を帯びる。

 しかし、そんな事とは関係なく、俺は眠くなっていく。


「これらの“魔術”は“白の師団”で独自に作られた“魔術体系”となります。無論、他の“魔術体系”を習得するのも悪はありません。しかし……」


 教鞭の熱が更に帯び、講義が佳境を迎える。

 俺の睡魔も佳境を迎える。


「しかし、十九章までの魔術は、あらゆる体系の“魔術”を修める基礎と成り得ます。なので、どのような魔術師を目指すとしても、そこまでは修めることを強く勧めます!」


 ドッグが俺の太股を仕切りに擦る。

 それはセクハラなんじゃないか? と思いもしたが、俺が起きないのを見て、全力でつねって来たのでマジで起こしに来ているらしい。


「また、基礎である十九章まで修めた後も、更なる章を習得すれば、いずれ、あらゆる技術を修めた魔術師となり。その最高到達点として“術式”を産み出すこと出来るやもしれません」


 “術式”それこそが、魔術師の最高到達てん……


 てん、じゅつしきとはー、えーと、あーと……

 ああ、もう駄目だ、眠いよ……

 

「“術式”とは……」


 彼女の声が耳に届くが、それがどんどん籠った物へと変わっていく。そして、徐々に途切れ途切れになっていき、何時しか完全に途切れてしまった……


 俺の意識はここで消失した。

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