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才能無き少女と天才少女が英雄と呼ばれるまで  作者: ふきのたわー
第二章 “英雄”の娘は学園で舞う
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第65話:学園生活

 それからの二日間について、特に目立った動きや変わったことなどが無かったため、簡潔にまとめよう。


 まず学園生活について、大まかに。

 結果から言えば、問題は特に何も起きなかった。

 授業は滞りなく進み、マウロとは目が合う時があったもののお互い不干渉を貫いていた。

 決闘という場がありながら問題を起こすのは不利益を被りかねない。そのことを私とマウロの双方が理解していたからだ。


 周囲から私に対する視線が、増えたと感じた。

 それはホワイトルームの面々からだけでなく、他ルームに所属する生徒や教室の移動中に廊下ですれ違う上級生からのも含まれる。

 というのも、アリスがベッドから抜け出した翌日のことだ。

 登校すると廊下の壁に、数枚の羊皮紙が張り出されていた。その羊皮紙には私が学園側より受け取った、あの羊皮紙の内容と全く同じことが書かれており、誰もが読めるようになっていたからだ。

 つまり序列(カースト)戦の開始が大々的に告知され、私とマウロの存在が学園内で広まったのだ。

 なぜ私のことを知らない者たちが、私を認識できたのか。それについてはおそらく、ホワイトルームの生徒から容姿などの情報が漏れたのだと思う。

 パッと見た時に私の服は、修道服に見える。特徴的な部分がある以上、広まってしまえばわかりやすい人物なのだろう。

 注目されることに慣れていない私にとっては、少し居心地が悪かった。


 「君の美しさを知らしめるには、ちょうど良い機会だろうね」


 そんなことをオルが言っていたが、私からすれば色々な意味で堪ったもんじゃない、と言いたい。


 好奇の目で見られるならいざ知らず、たまに敵意を持って見てくる者もいた。

 おそらくその正体はマウロに刃向かった、もしくは貴族に楯突いたと感じた者たちだろうことは想像できる。そんな目を向けられていては、落ち着いて廊下を歩くなんてことはできない。

 それを見兼ねたレミィが、なるべく一緒にいようとしてくれたり、ピネットが髪の毛を逆立てて周囲に威嚇していたので多少視線は少なくなったが。


 ピネットのことが上がったので、授業について述べていこう。

 まず午前については変わりなく。それこそ周囲の視線程度で、滞りなく進んでいる。


 午後の授業は、まず冒険者学から。

 授業に参加する生徒が何人か減り、残った者は学園側で冒険者としての登録を行なってくれるらしい。処理については今週一杯の時間を要するので、冒険者認識票アドベンチャーズプレートは来週中に各自の下へ届くそうだ。


 冒険者認識票アドベンチャーズプレートが用意され次第、私たちは実際に組合(ギルド)から依頼を受けて、学園外での実地学習をさせられるらしい。

 それまでは座学のみで時計を用いない時間の確認方法、長期間の旅を行う際の食糧や水の確保についてなど、いわゆるサバイバル術と呼ばれるものを学ぶことになっている。

 ローガンが語る内容に、ピネットが付け加えてくれるので授業自体はわかりやすくとても面白い。結構好きな授業だ。


 そして剣術。これはとても厳しいものだった。

 初日に組んだ三人で今後も稽古を行なっていくことになり、アリスとピネットの二人から扱かれる時間になった。

 これは私が原因なのだが、他の生徒と違って私は私だけの剣術を扱っている。そのため教えられる人物がジアしかいない。ただそのジアも教師として来ている以上、私につきっきりで、というのは不可能だ。

 そこでアリスが教師役として立候補してくれたのだが、前日に比べて飛躍的に厳しくなった。彼女はどうやら、入学初日と二日目で私の剣術について理解したようで、的確な助言が飛んできた。

 そして稽古相手となったのはピネットで、彼女も彼女で容赦が無い。実践的な打ち込み稽古をするのだが、ピネットは本気で来る。私の隙や甘えを許さず狩りとって来るのだ。


 おかげでこの二日間、私は全身に擦り傷や痣を作り、レミィの手によって治された。レミィには心配と苦労をかける。


 そういえばピネットが、なぜ序列(カースト)について詳しかったのか、その理由が判明した。

 これは私が疑問に思っていた、学園側からの情報開示が少ないことにも繋がるのだが、学園側のスタンスの問題だった。

 学びたいから学園に来たのであれば、知りたいことは自ら聞け。これが学園から生徒に対するスタンスだと、デカルトは語っていた。

 放任、自由の尊重とも取れるが、言っていることは間違っていないと思った。それこそ固有授業なんかは、本人の希望によってほとんど決まるようだし、生徒自身の自主性を重んじているのは一貫している。

 ピネットの場合、入学初日の段階でデカルトに詰問したらしい。

 彼女らしいと言えば彼女らしいか。


 朝はアリスと共に目覚め、レミィを加えた三人で食堂に向かう。すると食堂には既にピネットがおり、私たち三人分の席を確保してくれているので、一緒に座って朝食を摂る。

 朝食を済ませて四人で登校すればオルが機嫌良く、私たちに挨拶をしていき少し話をしていると、午前の授業が始まる。

 ちなみにオルとピネットの相性は、悪くないが良くもない。険悪とか仲が悪いといったわけではなく、単純にオルがピネットに気圧されていた。初めて見るタジタジとしたオルの姿に、私とレミィは顔を見合わせ笑った。


 昼は五人で昼食だ。賑やかな食事は嫌いじゃないので、個人的には一番好きな時間かもしれない。オルとも昼食以降は話す機会が無いので、できるだけ会話をする。

 アリスは相変わらず無愛想だが、それを知った上でレミィたちは接してくれるので、空気が悪くなることはない。表情を変えないものの、アリスもおそらく楽しんでいるだろう。


 午後は気合いの時間だ。

 必死に頑張るしかない。あと大怪我をしないよう気遣うぐらいだろう。


 授業が全て終われば、ゆっくりできる時間となる。

 四人で夕食を食べ、私はアリスと中庭で日課をこなす。

 そして部屋に戻りレミィと合流すると、三人でお風呂に入る。ピネットはどうやら熱いお湯と、肌を他人に見せることが苦手だそうで、生徒のほとんどが寝静まって浴場が閉まるギリギリに一人で入っているそうだ。無理して誘うこともないので、三人となる。

 お風呂が終わればそれぞれの時間だ。アリスは部屋に戻って来るとすぐに眠り、レミィは部屋で読書をしているそうだ。私は洗濯物に勤しむ。

 洗濯物といえば、レミィに売店で見た歯ブラシのことを話すと、今度お屋敷から余ったものを持って来てくれるそうだ。しかも私とアリスの二人分。

 高価そうなので一度は断ったものの、洗濯を任せているのでその対価と言って聞いてくれなかったので、ありがたく頂戴することにした。

 断りはしたが、なんだかんだ楽しみだ。


 一日の流れがある程度決まり、決闘の日を迎えようとしていた。

お読みいただきありがとうございます。

次話は明日12時、次々話は17時の更新を予定しております。

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