表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才能無き少女と天才少女が英雄と呼ばれるまで  作者: ふきのたわー
第一章 学園の始まりと少女たちの出会い
1/96

第0話:夢の始まり

 その世界を一言で表現するのならば、それは赤だった。

 漆黒の闇の中、辺り一面は轟々と音を立て、燃え盛る赤い炎が地面を覆い隠している。

 そしてその炎は闇の中で光源となり、炎と共に広がる血は深紅に輝いて見えた。


 私はその中に立っていた。

 私はその地獄を見て『ああ、またか』と思う。

 この地獄は何度も、私の前に現れるのだ。


 私は、いつの間にか握りしめていた両の掌を視界に収め、ゆっくりと開く。

 “それ”があることを確かめるように、両の掌を見る。

 私の手は、土と、煤と、血で赤黒く汚れていた。


 辺りを吹く風が頬を撫でる。まるで獣の呻き声の様な音が聴こえると、炎は荒れ狂う灼熱の海となって、一瞬で触れるもの全てを爛れさせてしまいそうな熱い空気が、私の全身を撫でた。

 ひとつ、息を吸ってみると、喉の奥に火が灯ったかの様な感覚に陥る。

 熱せられた空気は更なる大風を呼び、びゅうびゅうと音を立てている。

 その音が私にはまるで、悲鳴に聞こえた。


 目を凝らし、いまだ燃え盛る炎の先を見る。

 そこには一つの影があった。


 私は、その影の正体を知っている。


 全身に白銀の鎧を纏い、一本の両刃剣を携えた人物。

 それが影の正体だ。


 その人物に対する私の感情は、怒りや憎しみではない。

 何故ならこの地獄を作り上げたのは、その人でないことを知っているからだ。


 私はこの地獄の中で輝く白銀に、光を見た。

 深紅の炎の中でもひと際輝き、眩い程の、瞳を焦がす希望の光を。


 ――この光景は、私の夢の世界だ。

 眠っている私が見ているだけだ。

 だがこれは私が実際に見た、真実の出来事であり、少しだけ遠い記憶の世界だ。


 私が初めて己の無力さと、世界に対する絶望を抱いた日の記憶。

 そして自分が進むべき道、目指したい夢を抱いた始まりの日の記憶。


 私――フィリア・アスファロスが生まれた日だ。

いいね、ブックマークなど励みになりますのでぜひお願いします!

更新については活動報告、またはXをご確認ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ