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~ 取り巻きA攻略2 ~

翌日、メイドストーン様から呼び出される。


「アナタのいう通りの事が起きたわ」


「そうでしょう。結果はどうでしたか?」


「すっごく怖くて、一発殴られたけど。ちゃんとキャメロン様に助けられました。あぁ、肖像画の様にあの場面を切り取れたらと思ってしまうの」


「わかります」


「どうして給仕に気を遣わないのかわからなかったですけど。私が気を遣えば、キャメロン様が給仕の事を気に掛ける必要ないものね。そのおかげで、手当してもらったの」


恋する乙女の様に、昨日の出来事を思い出す彼女を見ていると、友達の姿と重ねてしまう。

途中からメアリー様を目的にゲームをしていたせいか、攻略対象に対してこういう本来の反応をしなかったのよね。


「それで、次はどうしたらいいのかしら」


「ここまでは情報の正確性を伝える為のデモンストレーションです。これからは、協力をしてもらわないとなりません」


「う……そうよね。本来それが目的だものね」


「仮に断った場合、私はキャメロン様との恋路を全力で妨害致しますので、恋人同士になれないと思ってください」


「それは脅しではなくて!?」


「脅しで結構。それだけアナタの存在が必要不可欠と言う事です」


「でしたら」

「それに、考えてみてください。いつも暴れ散らかして平気で裏切るあの女の側近と、伯爵夫人の地位と比べてどちら良いか」


「でも」


「花瓶が飛んできて体に当たる恐怖と朝起きるとキャメロン様が目の前で安らかな顔をしながら寝ている姿。それを独り占めできる特権」


「特権!」


「いつも無茶なお使いを指示される特権」


「特権…」


「夫人の肩書でキャメロン様の訓練風景を特等席で眺められる特権」


「特権!」


「何か面白い事をしなさいと無茶振りされる特権」


「特権…」


「どちらの特権がお望みでしょうか?」


「それは、キャメロン様の特権の方がえへへ……ち、違います!」


「ここは分岐点です。もしも、誤った選択肢をすると一生付きまとってきます。永遠にあの女の召使いがお望みなら止めはしません」


「それは嫌……わかったわ。アナタに協力する」


「そうでなければ。この紙が無駄にならずにすんで良かったです」


背中に隠していた紙束を取り出し、メイドストーン様に渡します。

中身を確認すると目を丸くしてこちらを見てきます。


「これは何かしら」


「毎日の訓練メニューでございます。キャメロン様の好みの女性は芯が強く、一緒に乗馬が出来る方でございます」


「乗馬でしたら、私も経験が」

「通常の乗馬ではございません。全力疾走で山を駆け上がるくらいの体力と技術が必要になります」


「それは……出来るか不安になるわ」


「それに、奥に行けば奥に行くほどライバルとの遭遇率が減り、雨の日に遭難した時にはラブロマンスが待っております」


「ラブロマンス……」


「そうです。甘いラブロマンス。風邪をひかない様に、キャメロン様の体温で暖めてもらえるのです」


「それって」


「抱擁です。あの鍛え抜かれた肉体による抱擁です」


「抱擁!!」


「しかも密着するのですから、顔も間近にあり、いい雰囲気なって……ここまで言えばわかりますね」


「キスね!」


「さぁ、どうでしょう。他にも色々とありますが、想像にお任せ致します」


「色々!! わかったわ、鍛えてくるわね!!」



「頑張ってください」


これで大丈夫でしょう。


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