大好きなあなたに逢えた
初投稿です。
最後までお読み頂けると嬉しいです。
メグは最近、ひとつ上の学年のリディッツ・ヴェルゼントと一緒にいる事が多い。
気づくとリディッツが近くにいるのだ。
学年が違うから会う事はないと思っていたけど、ランチタイムの食堂だったり、社交の縦割り授業だったり、放課後だったり。
それに距離も近い。
はじめは心臓が持たなかった…。
イケメンすぎるし声が良すぎてドキドキしっぱなしだった。普段、無表情のリディッツはメグに対しては蕩けるような笑みと甘い声で接する。
それに、リディッツは聞き上手だった。基本、無口であまり会話をしなさそうだが、メグの話をよく聞いてくれる。相槌の打ち方も間の取り方もメグは好感を持てた。なんかたくさん話してしまう、とメグは思う。
さり気なく手を引いてくれたり、指先でメグのサイドの髪を耳にかけたりと甘いスキンシップも多い。
嫌ではない。むしろ…
この接し方、知ってる気がするから困る。
だって、公爵令息なんだよ?家格がかなり上だし、セイン殿下の従兄弟だし…。
婚約者でもない。
…リディッツは婚約者はいないみたい、ほっとしてる自分がいる。
ーーねえ、そうなの?
ーーあなたなの?
聞きたいのに聞けない。
でも、メグに対する接し方や触れ方が全部そうだと言っているようで。リディッツの袖口をキュッと引く。メグがいつもあなたにしてた事。
大事な話をしたい時、袖口をキュッと引く癖。
すると彼はいつも…
「ん?」
袖口を引かれたリディッツが屈み込んでメグに視線を合わせる。
「どうした?」
指先で優しく頬をひと撫でする。
甘い声。おんなじだ、メグは鼻を啜る。
「…律なの?」
ぽろっとメグのオリーブ色の目から涙が溢れた。
少し、悪戯っぽい碧い瞳が甘く弧を描く。親指で溢れる涙を拭うと、涙の溜まるオリーブ色の瞳の端に口付ける。チュッとリップ音をさせて、目の端、唇の端にキスをする。
「そうだよ、芽久菜。やっと聞いてくれたね」
優しい声。大好きな声は前世と違うけれど、今世でも大好きな音で。
柔らかい笑顔は顔は違っていても同じで。
大きな手は前も一緒。包み込むように頬を撫でて、頭を撫でる。抱きしめて頭頂部にキスをする。
額に、頬に、それから…唇にキスをしてくれる。
大好きなーー律。
リディッツはメグを柔らかく抱きしめる。
頭を優しく撫でて、頭頂部にキスをした。リディッツの腕の中で、ぐすっとメグが鼻を鳴らす。
リディッツがメグの顔を覗き込み、優しく微笑んでから額にキスを落とす。
「律」
掠れた声で彼の名を呼び顔を上げると、チュッ唇にキスされた。ーー泣いてしまった。
「今はリディッツなんだ、芽久菜」
笑って頬を撫でられる。
「リディッツ…。今世でもリツ、だねよ」
泣きながら、ちょっと笑った。
「メグもね」
そう言って、またキスをする。食むようなキスが何度も続く。メグはギューっとリディッツに抱きついた。
「もう少しキスしてたいな、可愛いから」
悪戯っぽく笑って、リディッツはメグの頰の下あたりを大きな掌で優しく持ち上げキスをした。
やっと会えたね。
探してたよ。リディッツの掠れた声。
メグは心臓がきゅうっと音をたてたような気がした。切なくて嬉しくて愛しくて…大好きな律。リディッツになってて、また巡り逢えたんだね。
リディッツはメグの両頬を包み込むように持ち上げ唇にキスをする。はあ、と息を吐いて耳元で囁いた。
「求婚するから…」
「…うん」
二人はしばらく何度もキスをした。
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