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お茶会は驚きとともに

初投稿です。

最後までお読み頂けると嬉しいです。

学園生活も慣れた頃、上級生との交流会が行われた。学園は縦割り制を導入していてオリエンテーション等を一緒に行う。

今日は騎士科と経済学科、普通科とのお茶会だ。


経済学科は主に領地経営の運営や財務等を専攻するいわば後継者コース。文官目指す人もいる。経営エリートコースだ。騎士科は騎士だね、そのまんま。普通科はまんべんなく勉強します。マナーやら社交やら全部。嫡男でない令息や普通の貴族のお嬢様なら普通科です。


ちなみにセイン殿下は普通科と必須科目として経営学を学んでます。王族だしね、国って会社運営と少し似てる。

剣術の方は物心ついた頃から護身として嗜んでる模様です。


「あ、殿下♡」

コーラルの目がハート型になる。ほんとイケメン好きね。私はちょっとだけ殿下の声が好き。

セイン殿下がこちらに気づいて歩いてくる。


「こんにちは、コーラル嬢。お茶会日和で何よりですね」

コーラルを見ながら柔らかく微笑む。メグなんてモブのようだ。

実際モブなんだけど。


「こんにちは、第二王子殿下。本当に良いお天気で嬉しいです」

コーラルはにっこり笑った。その笑顔に周囲の令息が頬を染める。


ーー絶対、ヒロインよね!

決まりよ!とメグはうんと首を上下する。

だって笑顔が可愛すぎるし。


「ああ、コーラル嬢の姉君だったね。ええと…」

「メグ・ラヴァルですわ。こんにちは、第二王子殿下」

メグは立ち上がり優雅にカーテシーした。

コーラルの名前はチェックしても義姉の名前はノーチェックか。マイナスポイントだわ。


残念、声はいいのに。

コーラルも軽く眉を上げてる。

なんでぇ?って顔してるし。表情消して!


「メグ嬢!失礼した、私の事は固く呼ばずにセインと言ってくれると嬉しい」

殿下はそう言って微笑んで、私を見て、コーラルをじって見つめた。


ーーわかりやすっ!


今のはマイナスポイントだったもんねー。やっちゃった後に見つめてくるってあざといわぁ。

コーラルは真っ赤になってる、可愛い。良かったね、両思いだね。


「同じテーブルでいいだろうか?」

「もちろんですわ!」

少し大きめな声が出て、コーラルは恥ずかしくなって口許を手で押さえた。

それにくすりと笑ってセイン殿下は座る。そして後ろを振り向き、

「リディッツ、こちらとご一緒しよう」

と手を挙げた。


リディッツ・ヴェルゼント公爵令息。

経済学科2年に在籍の公爵家嫡男だ。

青みを帯びた銀髪、深い海を思わせる碧眼の瞳。彫刻の様に整った顔立ちには表情はほとんど無い。すらりと背が高く、細身だが鍛えているように見える。


すごいイケメン、やっぱり何かの乙女ゲームかも!


ゆっくりセイン殿下の席に近づき、はあとため息をついた。

「また勝手にいなくなって…。面倒事を増やさないでいただきたい」


ーーやばい!この方の声!!


やや低めの声。メグの好きな音!バリトンよりも少しだけ高めの声!

「すまない、リディッツ。気が逸っちゃったよ」

セイン殿下が頭を掻きながら謝る。はあ、と小さくため息を吐きながらリディッツは殿下の隣に座ろうとして、はた、とメグとコーラルを見た。


メグからコーラルへと視線を移し、メグに視線を戻すとじっと見つめる。

メグは少し身を引きつつ、慌てて目線を下げた。


ーー私、見過ぎちゃってたかな!?


容姿もいいんだけど、声がどストライクなのよーっ!

悶えてしまった。ギュッと目を閉じてからちらっとリディッツを見た。

すると、ふわりとリディッツが微笑った。



びっくりした!!



周囲がどよめく。隣の殿下が信じられないものを見た様に驚愕の表情。イケメンの笑みは至高の微笑みに違いないがセイン殿下は顎が外れるんでは?と言うほど口を開けてる。


一応、王子様なのに。驚き方に高貴さがなくなってる。口開けすぎよ!


だけど、確かにすごい破壊力!!


柔らかな笑みのまま、リディッツはメグに右手を差し出す。

「リディッツ・ヴェルゼントです。あなたのお名前を教えていただけますか?」


まるで砂糖菓子のような甘い声。メグの耳を擽ぐる甘く低い声に身体が震える。声、やばっ!


「お、お初にお目にかかりますっ…。メ、メグ・ラヴァルと申します」

噛んじゃったよーっ(泣)


声が震えるメグに、リディッツは小首を傾げ優しく微笑む。

「…伯爵家か。大丈夫だな」

ぼそっとつぶやいた声は聞き取れなかった。


リディッツはゆっくりメグの手を取ると、その甲に口付け、親指でするっと甲を撫でて離した。

ひゃあっと小さく声が出ちゃった!


ビクっとしたメグにリディッツはごめんね、と謝った。

びっくりしたよーっ!


セイン殿下の隣からぐるっと回って、メグの隣の椅子に腰掛けた。

「隣の子は妹さん?」

ゆったり背もたれに背を預け、長い足を組む。何かの絵画みたいだ。セイン殿下がまだ呆けてリディッツを見ている。


「あ、はい!義妹のコーラル・ラヴァルです」

「お目にかかれて光栄です、公爵令息様」

コーラルがあいさつする。リディッツは先程までメグに向けていた笑みを消し、無表情でコーラルに頷く。


ーーあれ?あんなに優しいお顔だったのに。


メグはちょっとびっくりした。そんなメグに気付いてリディッツは、ん?、と優しい目を向ける。


メグは真っ赤になって俯いてしまった。

恥ずかしいっ!心臓がバクバクしている。


「どうしたんだ?リディッツ…。微笑った顔、初めて見たよ」

「そうですか?」

セイン殿下がリディッツに前のめりになる。リディッツはまた無表情に戻っている。


「そうだよ。みんなびっくりしてるよ?何?メグ嬢を知ってた…わけじゃないよな。初めましてって言ってたから」

「まぁ、そうですね」


セイン殿下はリディッツの顔をジロジロ見てる。

私はお茶に集中する。味なんてわからなくなってしまったが、ひたすら紅茶を飲む。


すっとメグの前に菓子の乗った皿が置かれた。

マカロンみたい。なんかこれ好きかもと目が輝いてしまった。前世ではマカロンは大好物だった。


お菓子を皿に取って置いてくれたのはリディッツで、そんなメグに小さく微笑った。


「ありがとうございます」


甘い!リディッツが甘々でどうしたらいいかわからない!お菓子は美味しいけど。思った通りの味で嬉しくなってしまった。マカロンだよ!これっ!


それから、絶妙なタイミングで茶菓子や紅茶がリディッツの手によりサーブされて甘い時間をムズムズとした気分で過ごした。なんで私の好きそうなお菓子わかるんだろー?


どーなってるの?

周りのみんながすごく見てきます…。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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