義妹はいい子でした
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「たぶん、事故死です!階段事故!!
覚えてないんですか?混雑した駅の階段で誰かが押したんですよ!将棋倒しみたいに重なり合って死んだんです!私まだ17歳だったんですよ?」
コーラルはメグが前世持ちだとわかった途端、今までの意地悪がなかったかのようにくっつきだした。はっきりいって、ちょっと…ウザい。
「駅の長い階段の中くらいあたりで誰かが押したみたいで…あ、誰かが押すなって言っててわかったんですけど!もー最悪です!」
「階段事故…、なんか圧迫されて苦しいくらいしか覚えてなかったわ」
「…たぶん、下の方にいた人間だけ死んだんですよ。圧死ってやつ?…で、気づいたら生まれ変わってて、気づいたの最近です」
だから、とコーラルは俯きながらバツ悪そうに頭をさげる。
「姉様にしてきた事、ごめんなさい。お母様を止められなかった事も…、わたしは最低人間でしたよ…」
メグは目を瞬いた。びっくりした。こんな素直な子だったなんて!意地悪JKかと思っちゃって悪かったわ、とメグは反省した。
「コーラルは、家族の中で他人だからお義父様にだけは嫌われたらいけない、味方をたくさん作って追い出されないようにしないとって、そればかりで」
言葉を切って、顔をあげたコーラルはまっすぐメグの瞳を見る。
「本当にごめんなさい!!」
勢いよく頭を下げた。ピンクゴールドの髪がハラりと頬に落ちる。可愛い大きな桃色の瞳はうるうると揺れている。
「いいわよ、もう!」
メグは慌てて手を顔の前で大きく振る。その顔だと私が虐めてるみたいに見えてしまう!
「私も前世を思い出したのは最近だしっ!
あなたも思い出したから意地悪をやめてくれたんでしょう?」
「そうですけど…」
納得いかないような顔。あと、とコーラルはごくりと唾を飲み込んで言った。
「…でもこれってなんかの物語とかですかね?
前世で転生モノのノベルとか結構読みましたけど、乙女ゲームとか何かの小説の中にはいっちゃった!みたいな?」
「わたし、ゲームしないからわからないわ。小説もあまり読まないし…。本は専ら参考図書や雑誌程度だったわ」
「えっ⁉︎ゲームやらないんですか⁉︎
うそ、お姉様もしやお年寄りでしたか?」
ちょっと興奮気味な義妹に苦笑する。お年寄りってなんだ。
「たぶん、享年25歳、社会人だったわ。大学時代に本は論文書いたりレポート提出したりする時の参考程度しか読まないのよ。ゲームはしないけどPCはいじり倒してたわ。だからネサフは好き」
「なるほどー!ググるの私も大好きでしたよ!
でも社会人!大人ー!いいなぁー!あと私も大学行きたかったなぁ!まぁ、私はあんまり勉強できませんけどね、前世」
コーラルは俯いて口をとがらせた。バカだったんです、とあっけらかんと笑った。
なんだかんだ前世の話で盛り上がって、この日を境にコーラルとはすごく仲がよくなった。
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