変わっていた本邸の人達
初投稿です。
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茶番って疲れるわ。父の執務室にて繰り広げられた茶番劇…
先日、カーラ決死の陳情に父親のラヴァル伯爵ベントが数年ぶりに本邸に帰り、やっとメグの処遇が改善された。義母は領地送りだって。それで済んでよかったんじゃないかな、離縁してよっ!
ほんとにカーラが頑張ってくれた!ありがとう、カーラ、大好き!
信じられないくらい存在認識するのが遅い。
今まで度々本邸に戻っても、メグの不在に伯爵夫人から具合が悪いから伏せている、友人宅へ遊びに行っている等と言われて信じていたらしい。
おかしいでしょ、だってまだ8歳とか10歳とかだよ?お泊まりする友達もいないのに!
帰って来る度に会えないのは"再婚した自分は嫌われている"と思い込むようになったらしい。ーー嫌いになってきたよ!
理由は前夫人が亡くなってすぐに後妻をとったからだと思ったようだ。ー確かに、早いと思っていたけれど、と苦笑いする。
でもそれにしたって!メグはイライラしてきた。
王立学院入学時期が近づいてカーラの堪忍袋の緒が切れた。出張先で父ベントを捕まえて現状報告して、やっとメグの処遇を把握するとベントは絶句した、らしい。ほんとにぃっ⁈
聞いた話だから、ベントがどんな状態かは定かじゃないが、とにかく怒り夫人を伯爵邸から追い出したそう。伯爵夫人のメイドや侍従なんかも一緒に追い出したから本邸の使用人は総入れ替えみたいになっていた。
コーラルは
「お母様になんど訴えても聞き入れてはもらえませんでしたの…。わたくしも幼く、絶対的なお母様に逆らえなくて…お義姉様がかわいそう…」
と啜り泣くばかりだったとか。
義娘を放逐するのは憚られるし、幼い事もありそのまま娘として受け入れるとの事だった。
器量もよく、社交もよくこなせると言う事で、まあ、父親に気に入られているんでしょう。
「メグ、今まで放置してしまいすまなかった。」
ベントは頭を下げる。苦しそうな顔。今更なんですが、と冷めた目でベントを見た。
「大丈夫です」
メグはうっすら笑う。他に言いようがないし。なんなのだ。
「まずは身なりを整えて足りないものを揃えよう。夫人の事は、申し訳なかった…。本当に辛い思いをさせた」
メグはいえ、と曖昧に笑う。ベントは少なからずメグの事をまだ娘として見てるようだった。
でも、メグの父ベントへの愛情はだだ下がりだった。先妻でメグの母をとても愛していたらしいし、メグを見ると妻を思い出して辛いとか何とか…。てか私は父似なんですが!はぁ、意味がわからない。
亡き妻に悪いと思うなら大事にしろよ、と思う。私、母には似てないよ、父似だけども、目悪いの?
とにかく、父親にはなんの期待もなければ愛情もほぼ無くなってきてるので無駄な話は終わらせて湯浴みさせてもらうことにする!
父との対面よりも湯浴みの方を切望している。
起きたら湯浴み、寝汗かいてるし。
ずっと俯いていたメグに申し訳なく思っていただけたのか、下がって休みなさいとやっと言ってくれた。
もー!早く言ってよ!
お風呂に入りたいんだからっ!
メグは失礼します、と小さな声で告げるとそそくさと退出した。
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