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彼女が悪役令嬢なのかしら?

少し時間が空いてしまいました!

なかなか着地できません。まだ続きますそうです。

お付き合い下さいませ。

「距離が近すぎるんじゃなくて?紛い物の伯爵令嬢が」


腕を組んで立ち塞がるのはグラビアモデル顔負けのスタイルを誇るカレン・モーレット侯爵令嬢だ。

長い金髪を横に編み込み後ろに流している。

口許のホクロが艶っぽいが今は意地悪く見える。


ムカつく!


「はぁ…。距離は誰との距離でしょう?」

コーラルはため息交じりにカレンに問うた。

ちょっと良くない返しかな?とメグは息を飲んだ。


「セイン殿下よ!あなた、私を馬鹿にしてらっしゃるの?あなたは紛い物伯爵令嬢で私は侯爵家の令嬢なのよ?面倒くさそうな態度は何!?」

カレンはコーラルに掴みかからん勢いだ。


「わたしからは殿下に近づいてはいません。

でも、不快に思われたなら申し訳ありません」

コーラルは頭を下げる。


だが、カレンの怒りは収まらない。どんどん眉があがりこめかみがピクピクしている。


「まるで殿下が貴方に近づいているみたいないい方ね?身の程を知りなさいよ!紛い物が!」

カレンが怒鳴りつける。


ーーさっきから紛い物って…!


「ちょっとカレン様…」

反論しかけたメグを羽交締めするように腕が伸びてきてくるっと身を回転させられて背後に回される。


「あ、あれ⁇」

大きな背中に隠されるようにされ、顔を上げればリディッツだった。


「…大きな声だな。モーレット侯爵令嬢」

地を這うような低い声に身震いする。

ひっとカレンが悲鳴をあげて震えた。唇がわなわなと震えている。

絶対零度な声だものね、怖い。


「お前の下品な声で私のメグが怯えているだろうが」

どこまでも低い声。怒気を孕んでいるから余計に怖い。

カレンは膝までガクガクしてきて崩れ落ちそうだ。

 ーーでも、


「私にではなくてコーラルを罵ってたんですよ?

 紛い物とかって、不快でしたけど」

メグはリディッツに訴えた。

コーラルに怒鳴り散らしてたんで私は怯えてなかったけど、コーラルが。傷ついてるわ、絶対!


 ーーなによ、あのいい方に態度は。あれが悪役令嬢ってやつ?

 意地悪な人だわっ!


「義妹を罵られて不快だったんだろう?

 メグが嫌な思いをしたなら同じだ」

吐き捨てるようにリディッツは言った。

「で、ですがっ…!」

尚もカレンは言い募る。

「コーラル嬢は純粋な伯爵家の生まれではなく、子爵家の娘です!

 殿下とは釣り合いませんわ!伯爵家でも今ひとつ爵位が低いと言うのに…」

そこまで言ってカレンは続く言葉を飲み込む。


「は?」


リディッツの声が更に低くなる。怖い!


「ラヴァル伯爵家は筆頭伯爵家に近い家格の家だ。歴史も古く由緒正しい。コーラル嬢は正式に養子縁組されているから歴とした伯爵令嬢だ。お前がどうこういう立場でない」

どこまでも冷たい声。怖い。

リディッツの腕の中でぶるっと震えてしまった。腕を優しく撫でられて、

「メグに言ったんじゃないよ」

と耳元で囁くように言われた。


バリトンボイスでまた震えちゃった!いい声!!

 

「ちょっとそこのバカップル」

呆れた声が割って入った。


声の主にカレンが震える。コーラルはなんだか変な表情。

あれは「きちゃったよー」って感じであってるかも?


声の主にはセイン殿下。

メグとリディッツを上から下まで見て、腕の中で囲われたのを見て呆れ顔だ。恥ずかしい。


リディッツはずっとメグの肩から腕を優しくさすっている。無表情だけどメグに対する言動は砂糖菓子よりも甘い。


「リディッツ、話をメグ嬢に絡めるのやめてくれないかな。モーレット侯爵令嬢が貶めてるのってコーラル嬢の事だろう?」

「そうですわっ!メグ様の事は言ってませんし、私はコーラル様の出自と態度について…」


カレンは言いかけて、ひっと小さく喉を鳴らした。

セイン殿下の顔から表情が抜けた!

美形の無表情って怖い。ま、殿下よりリディッツの方が氷山の様に鋭利で冷たいけれど。


「出自って…、彼女はラヴァル伯爵家の養女でれっきとした伯爵令嬢だよ。淑女教育も受けているから所作も問題ない。生まれだけで言いがかりをつけるのは淑女らしからぬ下劣な行為じゃないのか」

「そんな、ですが…」

「生まれは誰にも選べないよ。君だってたまたま侯爵家の令嬢で私だってたまたま王族なだけだ」



カレンは黙って俯いてしまった。拳がギュッと握られてて怒りを抑えているみたい。

「これ以上不快な言動は謹んでもらいたいね」

行こう、と促す。


メグはリディッツの腕の中からスルッと出て(あっ!とリディッツが声を上げた)、コーラルの腕をとって自分に引き寄せる。


コーラルはそんなメグにニコッと笑った。

そのまま俯くカレンを残して、メグ達はガセポのある庭園に向かった。


カレンはコーラルが嫌いなんだろうな。セイン殿下は明らかにコーラル狙いだし…。


でも、コーラルは?

確かに殿下はコーラルの好みの顔なんだろうな。でも恋愛対象っぽい感じとも違うんだよね…。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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