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ありがちな虐待されてて面倒くさい

初投稿です。

最後までお読み頂けると嬉しいです。

あれ?

私、今何してたっけ?


目覚めると見知らぬ天井…。木造かな?

やけに水っぽく黒っぽい木だ。湿気ってるのかもしれない。湿った樹木の匂い、森の中でよく嗅ぐ香りだ。


「いたた…」


起きあがろうとしたら節々が痛い。湿り気を帯びた寝台のシーツからも何だか匂う。身体が痛かったのは木枠で出来た寝台のせいだった。スプリングマットなんて敷いてない。板の上に薄いシーツだけ。これじゃ痛いに決まってるし、疲れなんて取れるわけもない。


「…そうだ、今はここに追いやられてたっけ」

 ぽつりと独り言がため息とともに溢れる。


メグ・ラヴァル。今の私の名前。


しがない伯爵家の長女だったはず。7歳まではラヴァル伯爵家の本邸で令嬢として幸せに暮らしていたけど、母が病で儚く散るとしばらくして父は再婚した。どこかの子爵家の某系だと言う継母には連れ子がいた。同い年の娘だったが誕生月がメグの方が早かったのでメグが義姉となった。

父親は実母をきちんと愛してたようで、異母妹とかじゃなくてほんとに連れ子だったからよかった。同い年で異母妹とかだったら父が屑すぎると思うものね。


義妹はコーラルと言う名で淡いピンクがかった金髪に桃色の大きな瞳で可愛らしい少女だった。

何故かわからないけどピンクゴールドって危険な色だなって思う。

しかも彼女は甘え上手で父も屋敷の者達もたちまち彼女にはメロメロっぽいように見える。

基本のんびり屋のメグは義母に『とろい』やら『グズ』やら何かとメグは嫌われた。


容姿も綺麗だと社交界では評判だった母に似ず、至って普通だったから、パッとしない顔だの特徴もない容姿だの散々バカにされた。というか父に似たんだけど。

先妻の娘だし、当時の父はメグをとても大事にしていたから殊更ムカついたようだ。実子なんだから当たり前なんだけど…。

でも父は義娘のコーラルだって分け隔てなく可愛がっているじゃないの。


当主不在時は待ってましたとばかりにメグを何かと難癖つけて、折檻したり罵ったり虐待した。

父親に少しでも告げ口しようものなら虐待はひどくなるのでメグは口を噤むしかなかった。


ーー叩かれるのは、嫌だ。


身体は痛いし、ひどい言葉は心を容易く引き裂く。父も仕事で長期不在が多く、帰宅時には義母は父にバレないようにメグの身なりを整えさせた為、発覚はしなかった。メグ1人が我慢していれば丸く収まるような状態が長く続いたが、ある時それは白日のもととなる。


乳母のカーラが現状を訴えたのだ。

確か12歳位の時。

こんな事をいつまでも我慢したらダメだと、旦那様に報告します!と言って父の長期仕事先に出向き、今までの事をぶちまけた。

手紙で窮状を訴えても何故か手紙が父の元に届かないから監視の隙を狙っての脱出しての報告だった。


怒り狂った父親が本邸にすぐさま戻り、義母を断罪。泣いて縋る義母を領地の一番端の別邸に送り本邸へは立入禁止になった。義妹はまだ幼く淑女教育も必要なのでそのまま本邸で暮らす事となった。この子も義母と一緒になってメグを貶めていたけどなぁ。それを境に私にはまったく関わらなくなったし。やはり世渡り上手なのかなんの瑕疵もないと判断されたようだった。


「姉様ごめんなさい。お母様が怖くて嗜める事ができなくて…」

眦がじんわり滲んで唇をきゅっと結ぶ。

「私が勇気を出していればよかった!ごめんなさい、ごめんなさい姉様…!」


わっと泣きじゃくりメグに抱きついてくる。

そんなコーラルに父は眉を下げで優しく言う。

「まだコーラルだって12歳だよ。母親のしてる事に異を唱えられるはずないさ。

私が不甲斐なかったのだ、メグ、すまなかった…っ!」


父はコーラルごとメグを抱きしめる。側から見ている執事やメイドは感動してるのか涙目になってる。なんて茶番なの!?

一歩以上、引いた気持ちで見ている私が変なのかな? でも、カーラもちょっと怒ってるっぽいなぁと感じる。だって眉がピクピクしてるし。

「…辛かったけど、もう大丈夫です。ありがとうお父様、……コーラル」

もやもやするけど、これで終わりにする。

もー、めんどくさいし。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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