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ドラゴンの転生  作者: 藤塲美宇
第八章 和解と再会

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16

 門を開けると、葉月とミーティスが一番に出迎えてくれた。


「昊! 弥生! ……よかった。無事なのね」


「コウ! お主……ボロボロじゃな」


「ミーティス……うん」


「なんだ? 儂の心配は誰もしてくれんのか?」



 みんなが談笑している中、葉月が俺たちの後ろを凝視した。


「……弥生?」


 葉月の声に気づいて後ろを振り返ると、門をくぐった弥生がその場に蹲っていた。葉月は必死に声を掛け、背中をさすっていた。


「弥生! ちょっと……大丈夫?」


 俺が駆け寄ろうとした時、弥生はその場で嘔吐し、意識を失っていた。


「弥生? 弥生! どうしたの? ねぇ! 弥生!?」


 葉月が必死に声をかけるが、弥生の反応がない。


「レイス……レイス! すぐに来てくれ! 弥生が!」


 弥生を寝かせて、レイスを呼んだ。コウと話していたレイスはすぐに駆け寄ってきた。


「弥生殿?!」


 弥生の顔色がどんどん悪くなっていく。

 レイスはその場に横たわる弥生の胸に耳を当てると、険しい表情を見せた。


「これはいかん!」


 レイスは弥生の体に光の回復魔法を施した。


 吐物に血が混じっていた。瘴気の中に長くいたせいで、体に支障が出てしまったのか?


「レイス……弥生は?」


「胸の音が少し弱まっておる。瘴気のせいもあるが、弥生殿はかなり広範囲の浄化もしてくれていたからのう。負担が大きかったようだ」


「助かる……よな?」


「……うむ」


 レイスの声はいつもの自信に満ちたものとは違い、弱々しかった。


「昊よ。お主も半分は人間だ。今の姿のまま維持をしておれ。お主の体にも瘴気の毒は回っておるのだから」


「分かってる」


「……とりあえず、今は早く渡瀬の家に戻った方が良かろう。瘴気の中(ここ)で治療しても意味がないからのう」


 弥生はどんどん呼吸が浅くなっていった。葉月はずっと弥生の手を握り締め、必死に涙をこらえていた。


 こんなことになるなら、無理にでも弥生を追い返せばよかった。


 後悔の言葉が頭の中をぐるぐるしていた。



 渡瀬家に帰るといつも笑顔でいる泉さんも血の気が引いていた。

 持ち合わせていた薬草や霊薬を弥生に使用して、更にレイスは回復魔法をかけ続けていた。


「レイス、僕にも手伝わせてね」


「コウお主も傷ついておるのだ。無理は――」


「大丈夫だよ。回復なら僕にもできるから……それに、この子は助けないと」


 レイスは大きくため息を吐くとコウを見て頷いた。


「ああ、わかった。では頼む」


 コウは弥生の手を握ると目を瞑り、話しかけた。


「大丈夫、君は……戻ってくるでしょう?」


 コウがそう言うと、弥生の目がゆっくりと開いた。


「弥生!」


 葉月がすぐに駆け寄り、心配そうに見つめる。その横で泉さんが優しく声をかけた。


「分かる? ここはあなたの部屋よ」


 弥生は頷き、みんなの顔を確認するように見渡すとまた目を閉じ、寝てしまった。


「ふぅ……意識は回復した。これで大丈夫だろう」


「レイス様、コウ様……ありがとうございます!」


 泉さんは涙を流しながら、何度も頭を下げていた。


「良かった。弥生君」


 コウも胸をなでおろした。



 ふと、樹さんの姿がないことに気づいた。


「あれ? 樹さんは?」


 弥生のことがあって、バタバタしていたこともあって、気づくのが遅くなってしまった。


 そういえば、異界から帰ってきたときにすでにいなかったし、どこに?


「イツキさんは病院です」


「中川?」


 中川はだるそうに答えた。


「肋骨を折る怪我で入院していますよ」


「え?」


「命に別状はありません」


「本当か?」


「はい」


「よかった!」


「今回はボクも疲れました」


 中川も相当疲れたのか、ぐったりしていた。


「そうだよな」


「ソラ君。約束守ってくださいね?」


「わかったよ。でも俺が作れるものにしてくれよ」


「もちろんです!」


 中川が嬉しそうにメニューを考えている姿を見て、俺はほっと一息ついた。

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