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ドラゴンの転生  作者: 藤塲美宇
第八章 和解と再会

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 全身が痛い。

 最後まで魔力の壁が持たなかったせいで、腕を中心に火傷を負った。


「昊? 昊!」


 樹さんの結界が解かれていた。結界が解ける時は、かけた本人に何かがあったということ。


 まさか――


「葉月! 結界が解かれた! 樹さんは?」


「大丈夫……昊のおかげで無事よ。最初の攻撃で気を失ってしまったの。それで、結界が解除されたわ」


「そうか、無事か……よかった。葉月は? なんともないか?」


「私は大丈夫。でも、昊……この手じゃ……戦うのは難しいわね」


「あと少しなんだ。核の場所もわかってる。あと少し……」


 コウは容赦なく攻撃をしようと、体に魔力をため始めた。


 もう一撃放つのか? やばい、今度は防ぎきれないぞ?


 すると、ミーティスがドラゴンに姿を変え、コウの上に覆いかぶさった。


「コウ頼む! 戻ってきてくれ! このままではみんな、お主のせいで死んでしまう!」


「グゥゥゥ……」


 一瞬、動きが止まった。ミーティスの声が届いたのか?


「……コウ」


 ミーティスもそれを感じたのか、抑えている力を緩めた。しかし、コウはその瞬間、ミーティスを振り落とし咆哮とともに光線を吐き出した。


「ミーティス!」


 ミーティスは門の前まで吹き飛ばされ、蹲って動かない。コウはぎろりと目線をこちらに動かした。まるで動いているものを逃すまいと俺たちに照準を合わせた。

 ゆっくりとこちらに歩いてくる。

 俺の手はまだ治るのに時間がかかっていた。全身の痛みで力も入らない。這いつくばりながら、どうにかして葉月と樹さんだけは逃せないかと考えていた。


「昊、ごめん……」


「え?」


 葉月はゆっくり立ち上がり、振り返った。


「約束……破るね」


 そう言い放つ葉月の表情は痛々しくも何かを決めた感じがした。


「葉月……まさか」


 葉月がしようとしていることを止めないと、父さんみたいなことになる。

 俺の前に立とうとしている葉月に手を伸ばそうとしても、体が言うことを聞かない。


 ダメだ……葉月に使わせちゃダメだ! その魔法は使わせない!


「闇の精霊よ。捧げられしは己が命、与えられしは諸刃の剣、対価を払いて汝答えよ……」


「葉月! 使うな! お前がいなくなったら……俺は!」


 詠唱が終わった。あとは魔法の発動の言葉を言うだけ。葉月はためらっているのか少し間が開いた。


「やめろ! 葉月!」


 頼む! 誰か葉月を止めてくれ!


「……我に力を〈影禍双―—〉」

「……〈拘束(ヤヌラ)〉!」



 いつもなら、嫌悪感を抱く声。でも今回は違った。俺はその声を聞いて、安堵する日が来るとは思わなかった。


「来るのが……遅ぇんだよ。レイス」


 そこに現れたのはレイスだった。


 コウはレイスの魔法によって拘束され身動きが取れなくなった。 


「いやー、すまぬすまぬ。遅くなってしまった」


 葉月は急に現れたレイスに驚いて、そのまま固まってしまった。

 レイスは状況を把握するように見渡すと、倒れている樹さんの方へ歩いていった。


「ふむ、コウも自我を保てなかったか……。形成はすこぶる悪いのう」


 レイスは樹さんに手をかざした。何かつぶやくと、かざしている手が光り出し、険しい表情を見せていた樹さんが、次第に穏やかになっていった。


「ふむ、応急処置はした。とりあえずはこれで大丈夫だろう。ミーティスは無事か?」


「うう、無事じゃ! まったく……来るのが遅すぎるのじゃ」


 吹き飛ばされたミーティスはぶつぶつと文句を言いながら起き上がっていた。


「はは、本当にすまんな。だが、無事で何よりだ。さて……」


 レイスは葉月の横に立つとにこりと笑った。


「葉月殿、その魔法、儂にかけてくれぬか?」


「……え? でも、この魔法は……」


「諸刃の剣であろう? 『影禍双刃』は儂のようなものにかけるべき魔法だ。儂は不死の体故、な?」


「……っ」


 その言葉を聞いた葉月は一瞬息をのんだ。


「昊、葉月殿。よくここまで踏ん張ったな」


「……ああ、うう」


 葉月はレイスが来たことに安心したのか、大粒の涙を流した。

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