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ドラゴンの転生  作者: 藤塲美宇
第八章 和解と再会

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6

 光輝は少しずつ落ち着きを取り戻し、真っ赤に腫れた目をこすりながら、鼻をすすった。


「光輝……辛いこと言わせて、ごめんな」


「ううん……でも、前にコウはそろそろ……お別れの時が来るって……言ってたんだ」


「コウが?」


「うん、コウはぼくに力の止め方をずっと教えてくれてた。ぼくは溢れやすいから、静められるようにって、おまじないを教えてくれた。大きく息を吸って、六つまで数えてって」


「それで、溢れなくなった?」


「うん、あと、そらにいちゃんと一緒にいるといいって、教えてくれた」


「ん? それはどうして?」


「んーっと、カンシ? できるからって」


 カンシ? 監視か! アイツ、五歳の子供に何言ってんだ?


「でも、ぼくそらにいちゃんといると、なんか……うれしいんだ! コウに言われたからじゃないよ? そらにいちゃんといると、ほっとする」


「そっか」


「ぼく、コウと離れるの……怖い。だって……また傷つけちゃうかもしれない」


「光輝……実はな。俺も光輝と同じ力を持ってる。それも、俺もうまく力が使えてない」


「! え? そらにいちゃんも?」


「うん、今はいろんな人の力を借りて、少しずつ使いこなせるようになった。ある程度力の使い方が分かったから、普通に暮らせてるんだけど、それじゃダメになったんだ」


「ダメになった?」


「強いやつと戦わなくちゃならなくなった」


「強い……ヤツ?」


「うん、俺の周りの人たちをそいつから守りたいんだ」


「……まもる」


「それには、弟のコウに力を貸してもらわないといけないんだ」


「……コウに?」


「うん、だからもし光輝が良ければ、コウとお話させてくれないかな?」


「え? でも、どうやって?」


「前に光輝の体を借りて、コウが話をしているところを見たことがあるんだ」


「そうなの?」


「本当に一瞬だけどね。だから、もしかしたら光輝がコウに話しかけてくれたら、光輝を通じて話ができるんじゃないかと思ったんだよ」


「……うん、でもぼくどうすればいいか、わからないよ?」


「あー……えーっと?」


 俺は後ろにいる葉月を見た。葉月は俺の横でしゃがみ、光輝の目線に合わせた。


「光輝君、目をつむって心の中で話しかけてみて、きっと答えてくれるはずよ」


「……うん」


「光輝、別に無理にとは言わない。嫌だったら断ってくれていいから」


 光輝は目線を下にすると少し黙ってしまった。俺が背中をさすってやると顔を上げ、俺の目をまっすぐ見てきた。


「……そらにいちゃん、聞いていい?」


「うん? 何?」


「ぼく、コウがいなくなっても、ママと暮らせるようになるかな? ぼく、ちゃんと力、抑えられるようになるかな?」


「……俺は、光輝ならできると思う」


「本当?」


「うん。光輝は今までちゃんと力を抑えてたよ? 力を持ってるのに、全くその気配を感じなかった」


 光輝はほっとしたように力が入っていた肩が下りた。


「それに……もし、コウが抑えてたら、ここにいるおねーさんたちが真っ先に気付くはずだから」


 俺は隣にいる葉月をさすと、光輝はびっくりしながら、葉月と弥生を見た。


「そうなの?」


「え? ええ、そうよ」


「オレはそうでもないけどね」


「でも、コウはあのお兄ちゃんには気をつけろって、言ってたよ」


 光輝は弥生をさした。


「え? オレ?」


「なんで、弥生を?」


「えっと、なんか……ジョーカ? させられちゃうからって」


「ジョーカ? 浄化か……弥生、そういう……魂の浄化とかできるのか?」


 弥生は大きく首を振った。


「いや、そんな簡単に魂の浄化なんて、オレできないよ?」


「え? そうなの? コウはあのお兄ちゃんは光が強すぎるから、近づかないでって……」


「オレ、まだ見習いの身分だから、できないよ。……ああ、だからか。もしかして初めて会った時、怖がってたのって、それで?」


 光輝はこくんと頷いた。


「そうだったんだ……姉さんじゃあるまいし、見つけたからって、すぐに浄化はできないから、安心して」


「弥生? なんか、考えなしに私がやってるような言い方ね」


 その葉月の低い声に弥生は震えあがっていた。


「オホン、もし、光輝がコウと離れたくないならそれでもかまわない。でも、少しだけお話させてくれないか?」


「うん、じゃあ、コウに話しかけてみるね?」


「うん、頼む」

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