表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンの転生  作者: 藤塲美宇
第八章 和解と再会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/93

5

 次の日。


「昊くん、連れて来たわよ」


「ありがとうございます。園長……。それと、急にごめんな、光輝」


 俺は若葉園長のもとに行き事情を話し、渡瀬家の修練場へ光輝を連れて来てもらった。


「ううん、どうしたの? そらにいちゃん」


「昊くん、本当に大丈夫なの?」


「はい、光輝には危険がないようにします。ただ、万が一のことがあるので、ここで話させてください。それに、葉月や弥生もいますので大丈夫です」


「なぁ、昊……本当に光輝の中に?」


 弥生は信じられないようで、俺に耳打ちをしてきた。


「それを今から確認するんだよ。魔物の気配とか見つけるの、得意なんだろ?」


「それは、姉さんだけだよ。オレは得意じゃないって」


「ちょっと! 何、こそこそ話してるのよ!」


「「いや別に」」


 俺と弥生は隠し事を話していたわけではないのに、なぜか怒られてる気分になった。



「まぁ……分かったわ。光輝くん、また後で迎えにくるから」


「えー? 帰るのやだ! そらにいちゃんと一緒にいたい! ここにお泊まりしたい!」


「園長。もしかしたら遅くなるかもしれないから、今日はこちらでお預かりしますよ?」


「そう? でも一応、夜にまた来てみるわね」


「そうですね」



 修練場はいつもと変わらずひんやりとしている。そこに光輝を座らせた。


「さて、光輝。今日はちょっと聞きたいことがあるんだ」


「聞きたいこと?」


「うん、光輝は……起きてる時とか、夢の中で真っ白いドラゴンに会ったことない?」


「!?」


 光輝は体をこわばらせて、目を見開くとすぐに俺から目を逸らした。


「光輝?」


「し、知らない! 知らない! 知らない知らない!」 


 光輝は大きく首を振り、耳を塞いだ。

 俺はそっと、その塞いでいる手を外した。


「光輝、知らなければ、別にいいんだ。ただ、俺はその白いドラゴンを探していてね」


「え? 探してる?」


「うん、そのドラゴンはずっと昔、俺の弟だったんだよ。だから、お話したいと思ったんだ」


「そらにいちゃんの、弟?」


「うん、今は本当の弟じゃないけどね。光輝はちょっと、不思議な力があるだろう? だから、夢とかに出てくる可能性が高いんだ。会ったことない?」


 光輝は俯いたまま、しばらく黙っていた。

 

 やっぱり……違ったのか? レイスが来たあの夜、確かに光輝は古代の言葉を言っていた。それに、あの気配はコウにとても近いものだった。


「光輝……違うんだったら――」


 俺はこれ以上は聞き出せないと思い、俯いてる光輝に頭に手をのせた。すると、光輝は小さい声で答えた。


「……ある」


「え?」


「その、真っ白いドラゴン、ぼく、会ったことある」


「あ……あるのか? そのドラゴンに?」


「……うん。いつも夢に出て来てくれて、ぼくを助けてくれる」


「そうか……光輝を助けてたのか。相変わらずなんだな……。もしかして、そのドラゴン『コウ』って名乗ってないか?」


 光輝は少し困った顔をして俺から目を逸らすと、小さく頷いた。


「そうか、やっぱり……『コウ』なんだな?」


 俺は少しほっとした。コウはやはり近くにいた。あの日の夜、光輝が喋っていたのはコウだったんだ。光輝の中にコウはいる。でも、何で?


「なぁ、光――」

「ねぇ……そらにいちゃん、どうして会いたいの?」


「え?」


「もしかして……連れて行こうとしてるの?」


「光輝?」


「コウはぼくの大切な友達なんだ! お願いだよ! コウを連れて行かないで!」


 光輝は両手で着ているシャツをぎゅっと握りしめ、今にも泣きそうな顔をした。

 俺は小さくため息をつき、震えている光輝の手を優しく握りしめた。


「どうして……連れて行って欲しくないんだ?」


「ママ……」


「ママ? 光輝のママ?」


「コウがいないと……ぼく、力でママ、ケガさせちゃう」


「コウがいなくなると?」


 光輝は大きく頷いた。


 まさか、と思っていたが――


「コウが光輝の力が溢れるのを止めてるのか?」


 光輝の目には今にも溢れんばかりの涙が溜まっていた。


「ママ、ぼくのせいでケガして……目……覚まさないって……だから、ぼく……ぼく……みんなと一緒に、いないほうが……いいかもって」


「それで、みんなとも距離をとっていたのか」


 光輝は必死に涙を流さないように堪えてきたが、大粒の涙が頬を伝った。辛かった気持ちが溢れだすように光輝は大声で泣いた。俺はそんな光輝を抱きしめることしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ