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ドラゴンの転生  作者: 藤塲美宇
第八章 和解と再会

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「ミーティス、たぶん大丈夫だ。コウはここに戻ってくる」


「義兄様?」


 俺は結晶の中にいるコウをもう一度見た。


 コウ……お前は昔からなんでも抱え込みすぎだ。ここで待つミーティスがかわいそすぎるだろ。


 俺は強く拳を握り締めた。


「俺の力を自分に封印したことは馬鹿なことだが、自ら死ぬような奴じゃない。それに、ミーティスを置いていくわけないだろう」


「し、しかし……コウがどこに行ったのか……」


「昊、もしかして、どこにいるかわかってるんじゃ……?」


「ん? うーん。まだ確定してはいないが……たぶん?」


「な、なんと、義兄様! それは、本当か?」


 ミーティスは沈んでいた顔を上げ、目を輝かさせた。


「でも、違ってるかもしれないから、期待はするな」


「そうか……やはり、義兄様の近くにいるのだな?」


「それと……コウと話してみないとわからないが、もしかしたら離れられない理由があるのかもしれない」


「何じゃと? それはどういうことじゃ?」


 あの月夜の中で起こったことは気のせいではない。あの時話したのが、コウならば……。


「今日はコウの状態を知りたかったんだ。『ドラゴンの涙』が必要なくらい消耗しているなら、魂が戻っても体がもたないこともあるしな」


 結晶の中にいるコウの体には血こそ出ていないが、かなり傷があった。


 バアルと戦ったにもかかわらず、致命傷はなさそうだ。しかし、この場で封印を解いていいものなのか?


 俺はふと、ミーティスの後ろにある『門』が目に入った。


 このままここで封印を解いたら、コウは暴走して自滅していくに違いない。魔物が暴れるには狭すぎる。それに、いくら頑丈な建物とはいえ、この場所が持たないかもしれない。


 思考を巡らせていると、ミーティスが俺の袖を引いた。


「あの、義兄様……実はここを見てほしいのじゃ」


「ん?」


 ミーティスが下の方を指した。そこを覗くと大きくひびが入っている。それを見た葉月がそっと触れた。


「あら? これ、内側からヒビが入ってる?」


「うむ……本来なら、わらわがこの結晶を壊さん限りこの封印は解かれることはない。じゃが、例外がある」


「ミーティスの力を上回れば壊すことができる」


「うむ、コウは結晶の中で眠りについて暴走を抑えた。しかし……」


「え? それじゃあ」


「体がボロボロなのに魔力が高まっているのか?」


「それほど、義兄様の核の魔力は強いということじゃ」


「もしかして、コウはそれを感じて、魂だけ抜け出た?」


「その可能性がある。わらわもこのヒビに気付いたのは、コウの魂の気配がなくなった後なのじゃ」


「そうだったのか」


 コウは邪竜化しながらも内側で戦っていたんだ。これ以上、核のせいで魔力が上がればミーティスの結晶を壊すことになる。魂がなければ魔力の上昇も止められるから。


「じゃから、義兄様……もし、コウの魂を見つけたら、できれば、義兄様たちと一緒にここへきてほしいのじゃ」


 ミーティスは心配そうにしてうつむいた。


「うん、そうだな……邪竜と化したコウが復活するとなれば、ミーティスだけじゃ、抑えるのは難しいだろう」


「え? そうなの?」


 隣で聞いていた葉月が不思議そうな顔をした。


「コウは俺の前世での兄弟だったんだぞ? あいつ、本気で戦うと、すげぇ強かったし……」


 前世の最後は、コウの一撃が原因でもあるし。


 俺は思わずお腹をさすった。


「実はな、わらわは竜王と名乗っておるが、強さはコウのほうが何倍も上なのじゃ」


「そんなに?」


「うむ。それにな、優しくて、カッコよくて、スマートで……わらわのことも、かわいいねって褒めてくれて――」


「あー……うん、それはいつも聞いてる」


 畳みかけるような、ミーティスの言葉に葉月は苦笑いをした。


「でもな、コウは怒ると滅茶苦茶……コワい」


「え? 怖い?」


 俺とミーティスは同時に大きく頷いた。

 それを見た葉月は笑顔が引きつっていた。


「え、えー……じゃあ、どうして竜王にならなかったの?」


「コウはレイスと一緒に旅をするため、聖竜となることを決めた」


「聖竜?」


「魔物であって、魔物ではない。人間と共に生きることを選んだドラゴンってことだ」


「この門は魔物のためにあるものじゃ。だから、聖竜になったコウにはその資格はない」


「そういう事情があるのね」

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