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ドラゴンの転生  作者: 藤塲美宇
第八章 和解と再会

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「久しぶりだなぁ? ミーティス……お前にはいろいろ聞こうと思ってたんだぁ」


「お、お、お久しゅう……義兄様。お元気じゃったかの! 葉月から聞いたぞ? な……何やら、レイスや姉様が訪ねていったとか……」


 ミーティスは葉月たちから事情を聞いたらしく、俺が来たことに気がつくとあからさまに目を逸らし、おどおどし始めた。


「ああ、いろいろと教えてもらったぞぉ? 俺の封印のこととか、コウのこととか」


 ミーティスは俺が近づこうとすると葉月の後ろに隠れ、こちらを伺っている。


「あーははは……そうか、そうか! 聞いたのじゃな?」


「ちょっと、昊! ミーティスだっていろいろ事情があって言えなかったんだから、分かってあげてよ」


「ううー、やはり、葉月はやさしいのう」


 そう言いながら、葉月を盾にしているミーティスが小憎たらしい。


「まったく、手間かけさせやがって! 素直に教えても良かっただろうが!」


「し……しかし、コウも心配しておったのじゃ。もし、あの火事のことを思い出したら、また自身を傷つけてしまうのではないかと……それに」


「それに?」


「もう前世のようには戦うことができないかもしれんと言っておったし。力も必要ないなら、それでいいと言っておったのじゃ」


「だけど、結局バアルは現れるし、アクアは……なんか未来視で『世界が終わる』とか言ってるし?」


「姉様! やっぱり、そう言っておったのだな?」


「ミーティス、お前もしかして、夢で清香さ……アクアに会ったのか?」


「うむ、わらわと姉様は昔から夢でつながっていたからのう。……義兄様たちがここに来る少し前に姉様が夢の中に現れてな。その時に『世界が終わる』と聞いたんじゃ」


「アクアは何か言ってたか? どうしてそうなる、とか」


「いや……それが、わらわにも詳しくは教えてもらえんかった」


「……本当に?」


「本当じゃ! もう隠し事はせん!」


 それを聞いて俺は思わずため息をついた。


「そうか……じゃあ、ミーティスも何が起こるとか、わからないんだな?」


「うむ」


 ミーティスはこくんと頷いた。


「うん……分かった。とりあえず、アクアが言っていたことは、今はどうすることもできないしな」


「役に立てず、すまぬな。それと封印のことも……」


 ミーティスは申し訳なさそうに俯いた。俺は今までの経緯を聞いて、もう怒る気は失せていた。


「いや、ミーティスが隠してたのはコウのことがあったからなんだろう? 俺のことも心配してくれてたんだな。ありがとな、ミーティス」


「義兄様……怒っておらんのか?」


「まぁ、最初は頭に来たけど。でも、お前が言いづらそうにしていたのを葉月から聞いたし」


「そ、そうか……葉月、すまなかったな。手間をかけさせてしまった」


「いや、私は何も……結局、守谷さんが封印のこと言ってくれたから、言えたようなものなんだけどね」


「葉月……お主は本当に良い子じゃのう」


 すると、ミーティスは葉月の手を握り、慰め合うように見つめ合った。


 ミーティスって人間嫌ってた割に、葉月に心開いたら、すげー懐いたな。



「んで? 俺の封印のことなんだけど」


「うむ」


「ミーティス、前にも言ってたけど俺らの力が必要ってどういうことなんだ?」


「ああ、そのことか。コウが義兄様の封印をしたのは聞いたのじゃったな」


「ああ、コウが俺の力を自分の中に封印したって聞いた」


「そうなのじゃ、そのせいでコウは体に大きな負担がかかってしまった。その上、バアルとの戦闘をしたため、かなりボロボロじゃった」


「それでドラゴンの涙が必要ってことか……コウが眠りについたのは?」


「うむ、邪竜化する前にコウがわらわのところにきて封印してほしいといってきたのじゃ。その時、わらわはコウが眠るのと同時に結晶の中に封印した」


 それが、ミーティスの力か……。


「俺の力が必要と言ったのは?」


「コウは義兄様以外、核の場所がわからんようにしたのじゃ」


「俺にしかわからない核……?」


 ミーティスは静かに頷いた。


「コウは義兄様の力を核にして自分の中に取り込んだのじゃ」


 俺の力というのは場所の特定か。


「じゃあ、コウの力が必要と言ったのは……」


「ああ、それはコウ自身が抑えないと、我らは勝てん、ということじゃ」


「なるほど」


「え……? そんなに……強いの?」


 葉月はミーティスの頷く顔を見て、青ざめていた。



 俺らドラゴンの力が必要というのは、コウがわざとそうしたとしか思えない。それほどまで俺に力を戻したくなかったのか。しかし――


「コウも馬鹿なことしたな。邪竜化するのがわかっていて、俺の力を奪ったんだろ?」


 ミーティスは苦しそうな顔をして頷いた。


「……コウも必死だったんじゃ。義兄様が平穏な時代に転生したのに、この力のせいで魔物に付け込まれ、そのせいで戦いに巻き込まれるやもしれぬと言っておったのじゃ。だから……」


「そうか……その辺りは、本人に聞くよ。それで、コウはどこに?」


「こっちじゃ」


 ミーティスは後ろの壁のほうへ歩いて行った。一見するとただの綺麗な壁に見える。その前に立ち止まり、ミーティスが壁に触れると、一変して大きな結晶のようなものが現れた。


「わらわがコウを結晶の中に封印できたのは、まだ自我があったからじゃ。じゃが、もし乗っ取られていたら、わらわもどうなっておったかわからん」


「あの時から……ここにいたのか。コウは……」


 結晶の中にいるドラゴンは確かに『コウ』だった。俺の力を奪って自分の中に封印したせいで邪竜化してしまった。


 コウの目は鋭いものだった。

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