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ドラゴンの転生  作者: 藤塲美宇
第五章 竜王と封印
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「ソラ君。そろそろお暇しましょう。竜王様に瘴気を薄くして頂いているとはいえ、長居するのは危険です」


「そうだな。今度来るときは、弥生を連れてこよう」


「浄化者じゃな。うむ、その者がおれば安心じゃ」


「ミーティスさん。いろいろ教えて頂きありがとうございました」


「うむ。それにしても、今、義兄様の周りにいる者たちは、良き者たちが多いようじゃな。一人を除いて」


「ん? 竜王様、『一人を除いて』って、誰のことです?」


「悪魔! お主のことじゃ!」


「あははは! ボクですか? ボクも今は、いい人、ですよ?」


「信じられんわ! ああ、それと義兄様」


「ん? 何だ? ミーティス」


「もしかしたら義兄様次第で、この世界が大きく変わるかもしない、ということを肝に銘じておいてほしい」


「何だ? それ」


「まぁ、気のせいならば、良いのじゃがな」


 ミーティスは何か気にかかるのか、少し心配そうに笑った。


「ん、わかった。それじゃあ、そろそろ行くよ。アクアと会ったらまた来る」


「うむ。ああそうじゃ。葉月、少し話がしたい。こちらへ」


「? はい」


「義兄様たちは、扉の前で待て、すぐ終わる」


「? 何で俺達は聞いちゃダメなんだ?」


「良いから行け! 女同士で話があるのじゃ」


「……分かった」


 俺と中川は扉の前で葉月たちの様子を見ていた。


「いったい何を話しているのでしょうね?」


「さぁな」


 俺は気づかれないように二人の様子を伺った。すると、何故か葉月は驚いた顔をしたと思ったら、赤面していた。しばらくすると表情は硬くなり、ミーティスの話を食い入るように聞いていた。


 それから葉月は、ミーティスと別れる時も、一言もしゃべらなかった。




 無事に渡瀬家の修練場に着いた時、どうしても気になって葉月に聞いてみた。


「葉月……ミーティスと何を話していたんだ?」


「……これからの事」


「これから?」


「私がもし、闇属性が使えるようになってもバアルに歯が立たないって、言われたの」


「ミーティス……そんなことを言ってたのか」


「それでね。ミーティスさんが、必要ならば修行を見てくれるって、言ってくれたの。もし、闇属性を使えるようになったら、行こうかなって思ってる」


「はぁ?」


「上位クラスの魔物と手合わせするのは、いい経験になるだろうからって……このままじゃ、足手まといになっちゃうし」


「いや、待て! 葉月はそもそも、バアルと戦う必要なんてないだろ?」


「何で?」


「これは俺の問題で、葉月たちには関係ないだろ? それに、これ以上、強くならなくていいんだよ」


「な、何よ、それ!?」


「ちょっと、ソラ君。それは酷いです」


「ああ?」


 中川は、俺と葉月の間に立ち、大きくため息をついた。


「はぁ……ハヅキさんがどうして、強くなりたいのか、もう少し考えてやってください」


「どういう意味だ?」


「ですから……」


「と、とにかく! 私は決めた! 週末だけ行くことにする! それで……テオさん! また、あそこに連れて行ってもらえませんか? 『瞬間移動』じゃないと、あそこに行くのは難しいので! お願いします!」


「うーん……まぁ、連れ行く人が必要になりますよねぇ。でも、対価が必要なんですよねぇ」


「中川、対価ってなんだよ! さっきは、そんなこと言ってなかっただろ?」


「ボク、一応、悪魔なので……。先程の対価は『親子丼』ですかね」


「うーん……それなら、テオさん。『その日のおいしいご飯』で、どうですか?」


「のった!」


「お、おい! 中川! まさか、本当に連れて行く気か? ダメだろ? 魔力を大量に消費するって、言ってたじゃないか!」


「ああ、それなんですが、意外と行ける気がしてきました。ですので、ソラ君の魔力は必要なさそうです。ソラ君は、ここでお留守番していて、大丈夫ですよ。ハヅキさん! ボクはハヅキさんの修行にちゃんとお付き合いしますからね!」

 

 中川は俺に嫌味ったらしく言ってきた。


「テオさん! ありがとうございます!」


 葉月と中川はがっちり手を握り合った。

 俺は何となく二人が仲良く手を握り合っているのと、葉月が中川を頼ったことに少し苛ついた。

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