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ドラゴンの転生  作者: 藤塲美宇
第五章 竜王と封印
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「ミーティス! 吐け! 何を知ってるんだ!」


「うー……」


 そこへ、葉月がミーティスを庇うように割って入ってきた。


「昊、何か事情があるのかもしれないでしょ? ミーティスさんがかわいそうじゃない!」


「葉月……惑わされるな。この姿は仮の姿だぞ?」


「そんなの分かってるわよ! それでもかわいそうだって言ってるの!」


「葉月よ……お主は優しいのじゃな。どれ、お主はわらわに、何か聞きたいことはないか?」


 ミーティス……話、逸らしやがった。


「え? でも……」


「ミーティスの知識量はすごいぞ。だから、俺はここに来たかったようなもんだ」


「そう……なのね」


「わらわは現在の世の知識も持っておる。この地を通じて知識を蓄えておるのじゃ。ある程度のことは分かっておるぞ?」


「聞いてもいいのですか?」


「これも何かの縁じゃ。申してみよ」


「闇の……私は、闇の精霊と契約したいのですが、どこに行けばいいのか……」


「ほほう。闇とな?」


「はい」


「それならば、簡単じゃ。ここにおるぞ? 闇の精霊なら」


「え? ここ? ですか?」


 まさか、本当にふよふよ浮いているのか?


「うむ、義兄様の中に」


「え? 俺?」


「気づかないのも無理はない。義兄様は元々闇の力の持ち主じゃ。闇属性の精霊も居心地がよかったのであろう。前任者が亡くなった時に、義兄様の魔力の中に隠れたのじゃな」


「前任者? 前任者って誰だったんですか?」


「義兄様……つまり、『真空寺昊』の父親じゃ」


「ええ? 昊のお父さんが?」


「……父さん?」


「ふむ、なるほど、それで……じゃったのか。『真空寺昊』の家系はなんとも面白い輩がおったのじゃな。魔物と契約なんぞ……よくやったな」


「ミーティス……やっぱり、分かるのか?」


「義兄様の魔物の力、その人の体で使えておるのはその先祖のおかげじゃ。だが、子の中にはその力に耐えきれず早くして死んだ者もおるようじゃ」


「そうだったのか」


「葉月、お主が使えるようになるかは分からぬが、闇は少し癖があるが良いのか?」


「はい」


「ふむ。継承の儀式を執り行える者は近くにおるのか?」


「はい。両親ができます」


「そうか。しかし、光なら分かるが闇を欲するとは珍しいな」


「そ、そうですか?」


「……ふむ」


 ミーティスは、葉月のまごまごした動きを見て、俺を今度は睨んできた。


「な、なんだよ」


「やはり、罪深き男よ」


「さっきから、何なんだ! 葉月の闇属性取得が、俺と何の関係があるんだ?」


「義兄様は……」


「何だよ」


「何でもないわっ!」


 ミーティスは、つんとした顔をして腕を組んだ。 


「はぁ……それにしてもミーティス。何で人間の姿が……十四、五歳か? 俺より年下って、どういうことだよ。それも、その服!」


 どこかのお嬢様学校の制服に似ている。それが容姿と相まって、よく似合っていた。


「え? ああ、この姿と服はコウから聞いたのじゃ。『人間と会うときは子供の姿のほうが良い』って、言っておったのでな。しかし、近頃の人間はドレスを着ないのじゃな。よくわからないから『がっこーのせーふく』というのを模してみた」


「じゃあ、全部、コウの入れ知恵か?」


「そうじゃ? コウはこの姿は『かわいい』と、言ってくれていたぞ? どうじゃ?」


 ミーティスは、くるりと回って俺に見せてきた。ダークブラウンの長いストレートの髪がさらりと舞う。


「はぁ……アイツ、何を教えてるんだ? ミーティスはドラゴンの姿でも、十分綺麗なのに」


 すると、何故か皆、口をポカンとあけて、俺を凝視した。


「に、義兄様? わ、わらわを褒めても何も出んぞ?」


 ミーティスはチラチラ葉月を見ている。


「ソラ君……そういうところ、ありますよね」


 中川は、葉月を慰めるようにため息をついた。


「え? 昊の好みって……そっかぁ、そうなんだ」


 葉月は何故か、がっかりした表情を浮かべた。


「え? 綺麗だろ?」


「……うん。そーだねー」


 葉月は遠い目をし、感情のない返事をしてきた。


「しかし、ドラゴンの姿は少々、動きづらい! 大きいからな! 寝るときは人の姿のほうが楽じゃ! そう思わぬか? 義兄様」


「え? どうだったかな」


 皆が何故、葉月に気を遣っているのか、俺には分からなかった。

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