響く音色と、倒れる木
動物たちの合唱を聞きながら、こずちゃんはカードを見る。
ゴン!と木にぶつかった。
(いった~い。なんでこんなとこに木が)
こずちゃんが周りを見ると、道から外れていた。
改めて前を見ると、木がびっしりと生えている。
この先は森で、こずちゃんは入る前に一休みしようと、木にもたれた。
持たれた木からメキッと音がする。
「なんのおと?」
振り向くこずちゃん。
木がゆっくりと倒れていき、大きな音が鳴り響いた。
「なんで立ってる木が枯れてるの?」
こずちゃんは叫ぶ。
木をよく見ると、皮がはがれてボロボロになっていた。
周囲のシカが音に驚いて、遠くに離れていく。
動物たちの合唱が鳴りやむ。
こずちゃんは、気まずそうに動物たちの集まっている方向を見る。
動物たちは、こずちゃんを見ていた。
睨んでいるといったほうが正しいだろうか。
「ご、ごめんなさ――」
こずちゃんが言い終わるより前に、動物たちがこずちゃん目掛け走ってきた。
逃げ出すこずちゃん。
追いかける動物たち。
こずちゃんは森の中をただひたすらに走る。
その様子を見た、森にすむリスやウサギが慌てて隠れる。
(このままじゃ追いつかれちゃう……)
動物たちとの距離が徐々に縮まり、焦るこずちゃん。
瞬間、こずちゃんの身体が宙に浮いた。
「あれ?」
「よう。助けてくれてサンキューな」
「犬さん!」
「狼なんだがよ……まあ良い。オレはジョー」
「私は小梢恵、こずちゃんって呼んでね」
「オーケーこずちゃん。ひとまずこの森を抜けるぞ」
こずちゃんを背に乗せると、ジョーは器用に話し、木の上を駆け抜けていく。
しばらくすると、森を抜ける。
ジョーはそのまま進み、森から離れたところでこずちゃんを下す。
「ありがとう、ジョーさん」
「良いってことよ。どこに行こうとしていたんだ?」
「気の人形を届けに行くのよ」
「そうか。なら乗ってくか?」
ジョーはこずちゃんに問いかけた。