魔法とともに歩くみち
しぶしぶ塗り薬を犬の足に塗り、包帯を巻くこずちゃん。
「あれ?あれれ?」
包帯が絡まった。
ぐちゃぐちゃになり、包帯は絡みに絡まる。
こずちゃんは魔法を使う。
――言葉よ、言葉、言の葉よ
ぐちゃぐちゃに絡んだ包帯よ
犬の足に巻き付いて
「これでよし」
こずちゃんは一安心して、犬の様子をうかがう。
犬は気を失ってはいるものの、ぐったり感は消えている。
「よかった。またね、犬さん。元気でね」
犬の治療を終え、こずちゃんは、歩き続ける。
こずちゃんが花を見ながら道を歩いていくと、山が見えてきた。
道を歩いて山に近づくと、トンネルがあった。
トンネルの中は真っ暗で、はるか先には明かりが見える。
カードを出して魔法を使う、こずちゃん。
――言葉よ、言葉、言の葉よ
手持ちのカードを光らせて
カードが光りだし、トンネル内を照らす。
片手には矢印のカード、反対の手に明かりのカードを持って、こずちゃんは歩く。
「トンネルの中って怖いから、速足で抜けちゃおう」
手元には明かりがあるとはいえ、天井から水が落ちてくる。
道には鍾乳石や石筍があちこちに見受けられた。
それらを避けながら、傘をさしてこずちゃんは進む。
平らな部分に集まった水たまりにも水滴が落ち、波紋が広がっていた。
トンネルを抜けると動物たちが出迎える。
にゃーお。
んもー。
ひひーん。
ちゅんちゅん。
くるっくー。
「ネコさんにウシさんにシマウマさんがいる。ああっちにはカバさんも」
あちこちを見渡すこずちゃん。
動物たちの鳴き声が、まるで歌っているようにこずちゃんの耳に届く。
(話しかけたいな……でもお邪魔だよね)
傘の水滴を払うこずちゃん。
リュックに傘を入れ、木の人形を見て、誓う。
(カード便利だよね。家に持って帰りたいなあ)