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たとえばこんな物語  作者: にじいろけだま
4/13

季節の花を見て歩く

 霧の中をこずちゃんは歩く。

 てくてく。

 すたすた。

 ずんずん。

 矢印の示す方向へ、こずちゃんは歩いていく。


 やがて、霧が晴れてきた。

 広がる視界のその先は、草原があった。

 地平線まで広がり、ところどころに花が咲いている。

 こずちゃんは目を輝かせ、ポケットからカードを出して魔法を唱えた。


――言葉よ、言葉、言の葉よ

  私の足を、速くして

  ずっとずっといつまでも

  歩いていられるようにして


 こずちゃんは歩く。

 青空の下を軽やかに、花咲く道を進む。

「あらあら。そんなに急ぐと転ぶわよ」

「そうよそうよ。危険だわ」

 周囲の花がこずちゃんにしゃべりだす。

「こんにちは。お花さん」

 こずちゃんは立ち止まり、挨拶をする。

「そうねそうね。まず挨拶よね」

「挨拶は基本、会話の基本よね」

 花たちも挨拶を返す。

「私は小梢恵。こずちゃんって呼んでね」

「わたしはカガミ。カガミグサのカガミよ」

「ワタシはラン、スズランのラン」

「あたしはセージ。チェリーセージのセージって言うの」

「心配してくれてありがとう、カガミさん、ランさん、セージさん」


 こずちゃんは、花たちの名前を呼ぶ。

 カガミもランもセージも嬉しそうにしている。

「大丈夫。魔法のおかげで早く歩けるの」

「どうしてどうしてそんなに急ぐの?」

 セージがこずちゃんに聞く。

「おやつの時間になるもの。お母さんが心配しちゃう」

 こずちゃんは答えた。

「ご飯は大事ね、大切ね」

 カガミが首を縦に振った。

「花を見ていってもいいの。季節ごとに咲く花を」

「ありがとうランさん。なら少しだけゆっくり歩くね」

 ランの言葉にこずちゃんは考え方を変える。

「そうしてそうして、楽しんで」

 セージとランとカガミが口をそろえて話す。

 こずちゃんは手を振って、速度を落として花を見ながら、道を進む。


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