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たとえばこんな物語  作者: にじいろけだま
12/13

月が見守る夜の中

「んとね、お花さんと話して動物さんが歌っててカードで冒険してた」

「いい夢だったのね」

 母は楽しそうに話すこずちゃんの髪に手を伸ばし、何かを手にする。

「カタバミついてるわ」

 母は髪についていた黄色いハートの形をした葉っぱの花をこずちゃんに渡す。

「カタバミ……あ!そうだお母さん、お願いがあるの!」

「なあに、こずちゃん」

「んとね、んとね。この花でね、押し花を作ってほしいの」

 こずちゃんは母にお願いする。

「良いわよ」

 こずちゃんのお願いを聞き遂げる母。

「さて、石もあったし運びましょうか。その間にカタバミ、乾燥させちゃおう」

「おなかすいたー」

「あらあら。そうねえ、お土産にいただいたお饅頭があるから食べちゃおうか」

 母は喜ぶこずちゃんと手をつなぎ、蔵から外に出て行った。


 ★


 髪についていたカタバミは、押し花に変わるころ、空には月が出ていた。


 月あかりが家に差し込む。

 家の中では、絵日記をかきたいと話すこずちゃんがいる。

「気分転換とか思い出せるようにしておきたいの」

 こずちゃんの言葉に頷いて、父はこずちゃんに絵日記帳を差し出す。


 月がのぞく窓の下、こずちゃんは、文字を書きクレヨンで絵を描いていく。

「できたー」

 夢中になっていたのか、こずちゃんの手にはクレヨンがついている。

「こずちゃん、お風呂沸いたわよ」

 月明かりの中、返事をして日記を閉じるこずちゃん。

「忘れてた」

 こずちゃんは、書いていた絵日記帳のページを開く。

 そこに押し花のしおりを挟んで、もう一度閉じた。


 その絵日記を月明かりが照らす。

 月明りは神社も包む。

 月明かりが家を、神社を、蔵を照らす。


 蔵の窓から月明かりが差し込む。

 こずちゃんが取り出した魔法陣がひとりでに本に戻る様子も映す。

 雲が月を覆う、月明かりが消えていく。

 こずちゃんが開いていた本も、ゆっくり消えていった。







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