✒ 大航海 9
夕方になると、セロの言った通りに霧が晴れて来た。
未だ完全に霧が消えたわけじゃなくて、薄い霧が漂っている。
周辺の景色が少し見えるようになって来た。
ガゥン──とか、ゴゥン──とか、ドゴン──とか、何かが結界にぶつかる音がしている。
確かに障害物が有るみたいだ。
どんな障害物なのかは、未だはっきりとは見えないけど…。
テーブルの上に出来上がった料理を並べる。
霧が出ている中で釣りなんて出来ないから、今夜は肉料理にした。
夕食は豪勢なステーキにした!
今回はソースに拘って、8種類のソースを用意してみたんだ。
切ったステーキをソースに付けて食べてもらうようにした。
今晩の夕食はガッツリ系だから、食べごたえはあると思う!
セロは喜んでくれるかな?
マオ
「 セロ──、準備が出来たよ 」
セロフィート
「 有り難う、マオ。
今夜は──、ステーキですか。
豪勢ですね 」
マオ
「 そうだろ!
魚が釣れないから肉にしたよ。
今回はソースに凝ってみたんだ。
セロの口に合うといいんだけどな… 」
セロフィート
「 合わせますよ。
ソースは大分工夫してますね 」
マオ
「 えへへ(////)
オレの力作だよ! 」
セロフィート
「 いただきましょう 」
マオ
「 うん! 」
セロフィート
「 ──デヨォドの肉ですね。
丁寧に下処理が出来てます。
マオ、頑張れましたね。
デヨォドの下処理は手間の掛かる繊細な作業です。
難しい上、素早さも求められるので焦りがちになります。
丁寧な下処理をするのが難しい肉の代表とも言われてます。
腕を上げましたね 」
マオ
「 本当か?!
下処理って、あんまり自信がなかったんだけどな…(////) 」
セロフィート
「 デヨォドの下処理が出来たのですよ。
胸を張り、自信を持ちなさい。
マオなら個人で解体屋を開業出来ます 」
マオ
「 そ…そうかな(////) 」
セロフィート
「 ワタシの御墨付きです 」
マオ
「 有り難な…(////)
えへへ(////) 」
セロフィート
「 下味の刷り込み具合も良いですし、焼き加減も良いです。
下味がソースの邪魔をしませんし、ソースの良さを引き立ててくれてます 」
マオ
「 本当? 」
セロフィート
「 どのソースも美味しいです。
強いて言えば──、この3種類のソースにはもう二工夫を出来ると良かったですね 」
マオ
「 えぇ〜〜……。
その3つはオレの自信作だったのになぁ… 」
セロフィート
「 おや、そうでしたか。
そういう時もあります。
片付けが終わったら、3種類のソースを美味しくしてみましょう 」
マオ
「 うん(////)
セロにソース作りを教わるの久し振りだよな(////) 」
セロフィート
「 そうですね 」
セロと楽しい夕食を終えて、後片付けをさっさと終わらせたオレは、キッチンでセロと一緒にソースを作った。
セロから駄目出しを食らったオレの自信作の3種類のソースがセロの手に依って、絶品ソースへ生まれ変わった事は言う迄もない。
香辛料,調味料から2種類をチョイスして、チョイ足ししただけであんなに劇的にソースの味が変わるなん信じられないよ!
料理って、本当に奥が深いんだな。
セロとソース作りを終えてから船内を出ると、夕方よりも霧が薄くなっていた。
周辺は未だ見難いけど、夜空の様子は見られる。
薄暗い雲が空を覆っていて生憎と星は見えない。
マオ
「 曇ってるんだな… 」
セロフィート
「 バユーダ海域では星空は見えませんよ。
星空が見えては方角が知られてしまいますからね 」
マオ
「 えっ??
それって…態とって事か? 」
マオ
「 そうです。
星空に頼り、バユーダ海域を出る事は出来ません。
そのような仕様になってますからね 」
マオ
「 そ、そうなんだ……。
バユーダ海域に入ったらほぼ終わりなんだな… 」
なんて恐ろしい海域なんだよ…。