✒ 大航海 7
セロフィート
「 バユーダ・トライアングルと呼ばれている魔の三角水域です 」
マオ
「 はぁ?
何それ? 」
セロフィート
「 船で大陸と大陸を往来する時には通る事になる海域です。
場所に寄って海域の呼び名も変わります 」
マオ
「 それってさ、どんな大陸を往来する時もか? 」
セロフィート
「 〈 皇 〉が不在の大陸へ向かう場合です。
〈 皇 〉が不在の大陸には近付けないようになっている事は前に話しましたね 」
マオ
「 うん…。
確か…〈 皇 〉が長期主張から戻って来る迄、他の大陸の陸民から上陸されて攻め込まれないように、領海と領空は見えない力に守護されてるんだよな? 」
セロフィート
「 そうです。
その為もあり、大陸周辺の海域は危険水域となってます 」
マオ
「 …………また〈 皇 〉の居ない大陸に行くんだな〜〜 」
セロフィート
「 ≪ アウトラノベ大陸 ≫から近い大陸を選びました。
マオが『 1ヵ月で到着してほしい 』なんて無茶を言ってくれましたからね 」
マオ
「 …………ははは…。
それでバユーダ海域って、何れぐらい危険なんだ? 」
セロフィート
「 そうですね…。
磁場が狂ってますから方位磁石は使い物になりません。
天候も常時不安定で海面は荒れ易いです。
霧は晴れませんし、障害物も多いです。
渦巻き,竜巻も発生しますから、無事にバユーダ海域を出られる保証は出来ませんね 」
マオ
「 …………それってさ、かなりヤバいんじゃないのか? 」
セロフィート
「 普通はです。
この船は大丈夫です。
目的地の≪ ジェジロエンダ大陸 ≫へ伸びている矢印の上を進んでます。
船が矢印から外れる事はないです。
結界に守られてますから、船自体が障害物にぶつかる事もないです。
ぶつかっても結界が衝撃を吸収してくれますから、船が揺れる事もないですし 」
マオ
「 古代魔法の結界って凄いんだな〜〜 」
セロフィート
「 魔の三角水域内を分かり易く例えるなら、 “ 闇鍋 ” でしょうか 」
マオ
「 闇鍋……それはまた恐ろしい響きだな… 」
セロフィート
「 バユーダ海域を抜ける迄は不安かも知れませんけど、被害に遭いませんし大丈夫です 」
マオ
「 う、うん…。
それなら安心だよな? 」
セロフィート
「 どうしても不安を拭えない時にはワタシに抱き付いてくれて良いですよ 」
マオ
「 セロ…。
有り難な(////)
夕方にはちゃんと霧は晴れるのか? 」
セロフィート
「 出口に進んでいれば、必ず霧の出ない場所に出ますからね。
霧が晴れても驚かない事です 」
マオ
「 ……驚くような光景が広がってる──って言うのか? 」
セロフィート
「 そうでない時も稀にありますから何とも 」
マオ
「 ……………。
セロは魔の三角水域は初めてじゃなんだな… 」
セロフィート
「 ワタシ自身は初めてです。
数百代前の先代の記憶です。
何百万年前の記憶ですからね、多少は変わっているかも知れません 」
マオ
「 またセンダイさんかよ…。
1万年間を生きるんだから、数百人前って言うと数百万年前になるんだな…。
想像も付かないや… 」
セロフィート
「 ふふふ…。
色んな先代が居ましたからね。
魂に記録された記憶を見るのは暇潰しになりますし、楽しいですよ 」
マオ
「 …………そうなんだ…。
じゃあさ、セロが作り変えられた後に生まれた新しいセロに、セロとオレがイチャイチャしてた記憶も見られる──って事になるのか? 」
セロフィート
「 そうですね。
唯…ワタシの記憶の中にマオの姿が残っているかは分かりません。
君は〈 皇 〉ですからね 」
マオ
「 オレの姿だけが消えるかも知れないって事かよ? 」
セロフィート
「 そうですね 」