✒ 大航海 6
──*──*──*── 翌日
う゛ぅ゛〜〜〜ん……何だろう……ゴロゴロ……煩いな……。
マオ
「 …………今…何時だろ…?? 」
タオルケットにくるまったままの状態でオレは時計を見た。
時計の針は6時を差していた。
そうか……オレは7時間も寝てたのか…。
もうひと眠りしようかな……。
それにしてもやけにバタバタと煩い。
風でも吹いてるのかな?
風が吹くのは珍しい。
昨日迄の1週間、風らしい風なんて吹いてない気がする。
実際には吹いていたのかも知れないけど、結界が張られているから風らしい風を感じなかったからな。
だけど、今は違う。
バタバタ──とか、ゴロゴロ──とヤバめな音が聞こえる。
タオルケットをクッションの上に置いて、ルームシューズを履いたオレは、船内から出た。
何時もの見飽きた青空と青い海が広がっているんだろうとばかり思っていたけど、今朝の光景は何故か違っていた。
辺り一面が真っ白い霧に包まれていたからだ。
見飽きてうんざり気味だった青空と青い海は霧で隠れてしまって見えない。
マオ
「 ──セロ、これって……。
今日の天候は一体どうなってるんだ? 」
バタバタと風の音が聞こえるのは、どうやら強い風が吹いていて結界にぶつかっている事で聞こえている音みたいだ。
ゴロゴロと聞こえるのは、雷鳴らしい。
濃い霧で空が見えないけど、空には雷鳴雲があるのかも知れない。
セロフィート
「 御早う、マオ。
今朝は早いですね 」
マオ
「 音で目が覚めたんだ…。
それよりこれって…… 」
セロフィート
「 霧ですね 」
マオ
「 それは見れば分かるよ!
何で霧が発生してるんだ?
昨日迄は普通に海だったろ? 」
セロフィート
「 今でも海上を進んでます 」
マオ
「 何時この霧は晴れるんだ? 」
セロフィート
「 さぁ?
海の天候も気紛れですし、ワタシにも分かりません。
暫くは晴れないと思いますよ 」
マオ
「 そ…そうなんだ……。
雷鳴が響いてるし、雨でも降るのかな? 」
セロフィート
「 あれは遠いですから未だ降りません 」
マオ
「 まぁ…降ったとしても濡れないし、どっちでもいいよ… 」
セロフィート
「 マオ、少し早いですけど、朝食にしましょう。
霧を見ながらの朝食も偶には良いでしょう? 」
マオ
「 分かったよ。
準備してくるから待ってろな 」
セロフィート
「 有り難う、マオ 」
テーブルの上に出来上がった料理を並べる。
セロは椅子に座って大人しく待っていて、ちっとも手伝ってはくれない。
セロフィート
「 今朝の料理は茄子です? 」
マオ
「 うん。
白身魚の解し身とスプーンでくりぬいた茄子の身を合わせて、肉詰めのタネを作ったんだ。
茄子の肉詰めだ。
隠し味に味噌を使ってるよ 」
セロフィート
「 マオ…言ってしまっては隠し味になりませんよ 」
マオ
「 あ……。
まぁ、まぁいいじゃないか。
セロなら言わなくても分かるだろ 」
セロフィート
「 分かりますけど… 」
マオ
「 茄子だけじゃないぞ!
生春巻きの皮に巻いた海藻サラダも作ったし、色んな貝身をぶっ込んだクリームパスタも作ったよ!
焼き立てのパンもあるんだ! 」
セロフィート
「 今朝の朝食は奮発しましたね 」
マオ
「 セロの為に昨日の夜から仕込だからな! 」
セロフィート
「 有り難う、マオ。
嬉しいです(////) 」
マオ
「 冷めない内に食べよう 」
セロフィート
「 はい♪ 」
セロとの楽しい朝食は霧の所為で台無しだ。
霧の中で食べるなんて変な感じだし、不気味だよ…。
霧には早く晴れてほしい。
マオ
「 ……なんかさ、こんなに霧が濃いと気分は駄々下がりだよな〜〜 」
セロフィート
「 雲の中だと思えば気分も晴れません? 」
マオ
「 えぇ〜〜無理だし… 」
セロフィート
「 そう言わずに。
今はバユーダ海域を横断中です。
霧が晴れるのは夕方ぐらいですよ 」
マオ
「 バユーダ海域って?
初めて聞くけど……、何? 」