マオ
「 わぁ──、嘘みたいに綺麗になったなぁ!
…………海水の色は何でか濁ってるけど… 」
セロフィート
「 この濁りはワタシにもどうにも出来ませんよ 」
マオ
「 何でこんなに濁ってるんだろうな? 」
人助けをしてくれたセロに抱き付いていると、何か物凄い速さで一隻の舟が近付いて来る。
舟を漕いでるのは真っ黒いフードマントを被っている誰かだ。
物凄い早さで、ギコギコ──と立ち漕ぎをしている。
真っ直ぐ此方に向かって来るけど、この船って外からは見えなくなってるんじゃないのか?
マオ
「 セ…セロ、あの人は誰なんだ?
この船って見えないんじゃないのか? 」
セロフィート
「 彼は魔の三角水域の管理者をしてます。
彼には見えてますね 」
マオ
「 魔の三角水域に管理者なんて居たんだ? 」
セロフィート
「 魔の三角水域で亡くなった死体を海水の中へ落とし、海面へ上がって来ないように沈めるのが役目です 」
マオ
「 死体を海水に沈める??
何でそんな事…… 」
オレがセロと話してると、舟に乗って来た真っ黒いフードマントを深々と被った人物が、舟から船に乗り込んで来た。
黒フード
「 ──一寸ぉ!
何仕出かしてくれるんですかぁ!!
魔の三角水域には入って来ないようにって、言いましたよねぇ!!
何で居るんですかぁ!! 」
セロフィート
「 お久し振りですね。
貴方と会ったのは何代か前の先代ですけど 」
黒フード
「 関係無いっての!!
そんなのはぁ!
転移魔法を使うとか──、〈 テフの源みなもと 〉に変へん換かんするとか──、余よ計けいな事ことしちゃ駄ダ目メだろぉ!! 」
セロフィート
「 ワタシは何なにもしてませんけど? 」
黒フード
「 嘘ウソ言いわない!!
とっととバユーダ海かい域いきから出ててってくれぇ!! 」
セロフィート
「 そう言いわれましても…。
5日かは辛しん抱ぼうしてください 」
黒フード
「 5日かもバユーダ海かい域いきに居いるつもりかぁ!! 」
セロフィート
「 そう怒おこらないでください。
フードが捲めくれますよ 」
黒フード
「 うるせぇ!! 」
マオ
「 おい、アンタ!
管かん理り者しゃだか何なんだか知しらないけど、オレのセロに随ずい分ぶんな言いい方かたするなよ! 」
黒フード
「 何なんだ、お前まえは?
お前まえこそ生なま意い気き出だぞ!
おい、ちゃんと躾しつけはしてるのか! 」
マオ
「 躾しつけぇ?!
オレはセロのペットじゃないぞ! 」
黒フード
「 黙だまれ、外がい野やぁ!! 」
セロフィート
「 ワタシのマオに乱らん暴ぼうしないでください 」
黒フード
「 “ 良よかれと思おもってした事こと ” が必かならずしも良いい結けっ果かを招まねくとは限かぎらないんだからなぁ!!
何なん十じゅう年ねん,何なん百びゃく年ねんも経たった大たい陸りくに突とつ然ぜん帰かえされて幸しあわせになれると思おもうのかぁ!!
大たい陸りくへ帰かえれても家か族ぞくも友ゆう人じんも居いないんだぞぉ!!
此こ処こで出で逢あって家か族ぞくになった奴ヤツも友ゆう人じんになった奴ヤツも居いるんだぞぉ!!
お前まえ等ら、そういうの全ぜん然ぜん考かんがえてないだろぉ!! 」
マオ
「 そ…そう言いわれたら…。
た、確たしかに……。
じゃあ…オレは余よ計けいな事ことを…… 」
セロフィート
「 知しった事ことですか。
済すんだ事ことですし、別べつに良よいでしょう。
行方ゆくえ不ふ明めい者しゃも死し体たいもま・た・増ふえますし 」
マオ
「 そうなのか? 」
セロフィート
「 直すぐ元もと通どおりなります 」
黒フード
「 そういう問もん題だいじゃねぇんだよ!! 」
マオ
「 止やめろよ!
オレのセロに言いい寄よるな!! 」
オレは黒くろフードを被かぶってる男おとこに掴つかみ掛かかった。
その弾はずみなのか、フードが捲めくれて黒くろフードの男おとこの顔かおが露あらわになった。
マオ
「 ぎぃぃ゛やぁ゛ぁぁぁああああああッッッ!!!! 」
黒くろフードの男おとこの顔かおを直すぐ間ま近じかで直ちょく視ししたオレは、思おもわず大おお声ごえで叫さけんでしまった!
黒くろフードの男おとこから離はなれたオレは、セロの背はい後ごに隠かくれた。
マオ
「 な…なん…何なんで──、骸がい骨こつっ?! 」
黒フード
「 何なんだぁ?
さっき迄までの威い勢せいの良よさはどうしたよぉ!
あ゛ぁん? 」
マオ
「 骸がい骨こつが喋しゃべってる… 」
セロフィート
「 ワタシのマオを怖こわがらせないでください。
普ふ段だんの顔かおに戻もどしてください 」
黒フード
「 ハッ!
嫌やだね!
2度どと余よ計けいな事ことすんなよぉ!!
6日か目めに未まだ居いたら海かい底ていに沈しずめっからなぁ!! 」