──そんな風に自分を貶して責めていた時がオレにもありました。
だけど、今は違う!
なんと、セロがオレのお願いを聞き入れてくれて、嫌いな筈の人助けをしてくれる事になったんだ!!
オレの渾身のピーチパイがセロの気持ちを変えてくれたみたいだ!
良かった!
ピーチパイを作っといて良かった!!
有り難う、ピーチパイ♥
これからはスイーツパイでセロの御機嫌を取る事にしよう!
うん、そうしよう!
マオ
「 セロ、有り難う!
頼むよ 」
セロフィート
「 はいはい。
ワタシの可愛いマオ。
君が望むなら人間助けもしましょう 」
ピーチパイは効果抜群だった!!
セロフィート
「 但し、既に大陸が存在していない陸民達は帰せませんよ。
バユーダ海域に残り、今迄通り魔の三角水域をさ迷い続ける事になります。
それでも構いませんね、マオ 」
マオ
「 うん…。
古代魔法は凄い魔法だけど、万能じゃないから何でも出来るわけじゃないんだもんな? 」
セロフィート
「 その通りです。
理解してくれているなら良いです 」
そう言いながら、セロは優しく微笑んでオレに向かって頷いてくれた。
セロの右隣に立っているオレの右肩は、左隣に立っているセロの右手に抱かれている。
肩ぐらいの長さもある何時もの杖を左手に持っている。
杖の先端を空へ向けて、時計回りにクルクルと動かし始めた。
マオ
「 …………セロ、何してるんだ? 」
セロフィート
「 魔法使いっぽく杖を動かしてます 」
マオ
「 もしかして…必要あるのか? 」
セロフィート
「 特に無いです♪ 」
マオ
「 そういう演出は、しなくていいから… 」
セロフィート
「 はいはい。
マオは注文が多いです 」
クスクスと笑いながら、セロは杖を動かすのをピタリ──と止めると古代魔法を発動させた。
沢山の魔法陣が空中に出現した。
転移魔法陣かな?
本来は〈 ノマ 〉のオレには魔法陣は見えないんだけど、セロと魂の契約を交わした事で魔法陣が見えるようになった。
魔法陣を見えるようにはなったけど、どんな効果のある魔法陣なのかはさっぱり分からない。
沢山の魔法陣が一斉に光だした。
魔法陣に依って光る色が違うからついつい見惚れてしまう程に綺麗だ。
色の違いに何か意味があるのかな?
色が違うと魔法陣の効果も違うのかな??
見惚れている間に魔法陣の光が弱まって消えてしまった。
光が消えると同時に魔法陣も消えてしまった。
マオ
「 セロ… 」
セロフィート
「 終わりました。
未だ大陸のある陸民は帰しました 」
マオ
「 終わったんだな…。
良かった…。
有り難な、セロ! 」
セロフィート
「 どう致しまして。
ワタシの愛しいマオ 」
マオ
「 あのさ…序でにってわけじゃないけど……、障害物になってる死体を〈 テフの源みなもと 〉に変へん換かんする事ことは出で来きないかな? 」
セロフィート
「 出で来きますよ。
──そうですね、もう必ひつ要よう無ないですし、〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉へ変へん換かんしてしまいましょう。
見み晴はらしが良よくなりますし 」
そう言いったセロは、海かい面めんに浮うかんでいる障しょう害がい物ぶつになっている死し体たいを〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉へ変へん換かんしてくれた。
まるで螢ホタルの光ひかりが天てんへ昇のぼって行いくように光ひかりの粒りゅう子しになって消きえていく。
こんな事ことを思おもうのは不ふ適てき切せつかも知しれないけど「 綺キ麗レイだ 」と思おもってしまった。
沢たく山さんあった筈はずの死し体たいが全すべて〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉に変へん換かんされた事ことで海かい面めんはす・っ・き・り・した。