エピローグ
…?あっ!新しいどくしゃだね!よくきてくれたよー!
こっちは誰でも安心して、みることができる優しいはなしだよ!
…ちょっとこわい人はいるけど。
ところで…君は優しい話が好きなのかな?
もし、そうだったら嬉しいな!
…
でも、せっかく見に来てくれたのにごめんね…!実は君が見始めたのはこの物語が終わるところなんだ…。
…でも。何とかこれまでの話を…まとめておいたから。
よかったらここから楽しんでいって!
…
あっ!もし、読んでいて…この漢字難しい…。分かりづらい…。って思ったら!
遠慮しないで聞いてね!
わからないことを聞くことはいつになっても、とっっても大切なことだからね!
…それと。…自分で調べてみるのもいいかな!
インターネットでも、辞書でも、方法は色々あるからね!
後…。
…うん。実はこの話はいくつかあってさ。
R15のほうは…やさしい話が好きな君には耐えられないかもしれない。
…。
…さて。
長くなっちゃったね。
…楽しんできてね。いってらっしゃい。
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この話はフィクションってことで! …全年齢対象の!
これまでのあらすじ
とある普通の高校生イトウ セイタロウは学校へ向かう途中、トラックのクラクションにビックリしていると…。
なんと!いつのまにか異世界だった!
そして、なにかよく分からないうちに。
めずらしい力をもらって。
4名の仲間とともに。
とってもたいへんなことを乗り越え。
ついに世界をおびやかすわるいやつをこらしめたのだった…!
そして…。平和となった世界をみてまわるうちにセイタロウはこれからなにをするかはっきり決めたのだった…。
「本当に…いっちゃうの…?」
りーすが小さな体を震わせ、上目遣いで今にも泣き出しそうな勢いで見つめる…。
夜が更けた頃、俺たちは「とある宿屋」の大広間に揃っていた。
…思い返せば。りーすはとても心優しい女の子だったなぁ…。
色んなことを知っていて。
いつもその知識にはみんな助けられた。
普段は臆病だけど、いざというときにはすごい力を使う。
…コウモリ男と戦ったときにも助けられたっけ。
今はこうやって普通に話してるけど。
最初に出会ったときは
「…リスが…しゃべっ…た!?」
ってなったっけ…。
「ハル…ゥ。まだいっしょにいたいよ…。」
「ハル」。
呼び名はとても気に入ってるから。
異世界でもこの愛称で呼んでもらうことの方が多かったな。
子どもの|頃からの愛称のようなもので、大親友のレイカがつけてくれた。
…名前のセイタロウの晴から、もじったものだと思う。
ずっと感じてきたことだけど、りーすはやっぱりそのレイカにそっくりだ。
だから、すぐに仲良くなれたのかな。
「グシュン。まだぁぁ…。いっしょに…いたいよぉぉ…。」
…ここまで甘えん坊ではなかったけど…。
それにしても…。こんなりーすをみてると…。
つい、もうちょっっとだけここにいてあげようかな…。
なんて思ってしまうな…。
そんな葛藤を感じていると。
「ッオーーーーイ!\'(∋Α∈)'/セーイタロー!!」
大きな声とともに何かが飛んでくる。
耳がキーンとなる。
コウモリ男。セカリだ。
俺たちの旅の途中からセカリはついてきたっけ。
まあ、助けられることもあったけど…ちょっと嫌なところの方が目立つ。
例えば…。
人が話しているときに急に邪魔してきたり。
ご飯の食べ方が汚かったり。
人のものを勝手にとったり。
正直なところ…。
あまり好きとは思ってない。
「キドイ…。」
…そして、いつものように最初の勢いが嘘かのようにすぐ落ち込む。
…後、なぜかハ行話せないんだよな、セカリって。
そして。
このあとはいつもの恒例行事が始まる。
落ち込んでいるセカリにサビスが近づいていって
「大ー丈ー夫。ハルはなんだかんだいっても君のことを好きだと思ってるよーぉ!」
そんな言葉をかけると。
「えーー!?ほんとにー!?」
と照れくさそうにしながら。
「そーですよーぉ!」
「そーーかなーーー!?キシャキシャキシャキシャシュッポッポーー!」
さっきまで落ち込んでいたのが嘘のように元気に大きな笑い声をたてる。
そして、セカリはスキップしながら部屋の外へ飛びさっていった。
このくだり…旅してるとき何回見たかな…。
そんなことを考えていると。
サビスがこっちに近づいてきて。
「ハル!あのセカリは、わっぺにまかせて!」
と、この近くにいるみんなびっくりしたんじゃないかな?ってくらい。大声で話しかけてきた。
…こういうのって普通、こっそりいうものじゃないかな…?
…そんなどこか、ぬけているサビスだけど。
とてもきれいな女性だ。
いつみてもそのきれいな姿にはあこがれを感じてしまう。
…それ以外の言葉が思いつかないくらいとってもきれい。
…でも、一番の特徴は…やっぱりおどけた感じかなぁ…。いつも楽しませてくれる面白い人だったし。
そして、厳しいところはあるけど、それはみんなのことを想っての発言、行動だったり。
みんなのことを一番よくみていて、分かっていたのも、サビスだったと思う。
そんなところもあって。俺が元の世界で通っている高校の男子ならみんな恋に落ちてしまうほどだと思う。…女子もかな。
…そんなサビスには言葉に魔法の力をこめ、その気にさせることができる力がある。
プレゼントフォーユー《前途四遊》の一人と戦った時に分かったんだよな…。
どんなやつでも思いのままにできる。
それがサビスの能力だった。
…とはいってもサビスはそんなことはしない。
だって…
「…そうだ。ハルとはもうあの時…。あれだけ心の内を打ち明けあったから…。もう伝えるようなことはないと思ってたんだけど…さ。」
「?」
「…言いたいことは~?コレっ!」
いつものように、そう言うと。
サビスが一生懸命にがんばって工夫を凝らしたのだとわかる、いつも以上にきらきら輝く文字が表れると同時に。
「君たちに出会えて
本当に良かったと思ってるってこと!
………ありがとね!
ラッサーガ! ハル!」
いつものおどけた感じではなく、満面の笑顔とともに、想いを。伝えてくれていた。
…うっっ…うぅぅぅ…。さ…びすぅぅう…。
正直なところ。俺は子どもの頃からこういうのに弱い。
そういえば…みんなが俺の誕生日パーティーをこっそり考えてくれていて、それを知ったときはすごく嬉しくて…泣いたこともあったな。
あの時は勝手に自分でもなにがなんだかわからないくらいボロボロ泣いた。
…そんな思い出の嬉しさを思いだしながら。
サビスの言葉と、文字にこめられたこれまでの旅の仲間への想いを肩を震わせながらひしひしと感じる。
…そう。俺たちと旅をする内に。
言葉に魔法の力をこめ、思いのままにできる力は。
想いを伝えるための力になっていた。
いや、こっちがサビスの力の|本来あるべき姿だったのかな。
そして、サビスはこの力をみんなのために使っていくと決めた。
「いつか、この世界のみんなの想いを伝えるための手助けができたらなって思うんだ!」
…そう自分の夢を語っていたあの時のサビスの嘘偽りのない言葉を忘れることはないだろう。
そんなことも思い出しながら。
この想いを深く心に刻みこんで。
顔がくしゃくしゃになっているうちに。
サビスはもう、そこにはいなかった。
きっとサビスはいつも通り飛び去っていったセカリを追っていったんだろう。
…サビス…。
…。
「…ハル。ちょっといいか。」
「…」
「…。お前は暴れまわるタイプだが、感受性が豊かだな…。」
…ナゾック…。
プレゼント・フォー・ユーの一人。
3等身でいつもの「?」マークのシルクハットにしずくの形のアクセサリー。
ハデッハデで色がまばらな左だけチェックのタキシードをきている。
肌の色がコロコロ変わるのが特徴で、今はいつもの水色。
ホント。いつもと変わらない。
「お前がオレっちをどう思ってるかは簡単に想像がつくよ。」
「…」
「…こんなときだが、お前への問いかけがあってな…。」
ナゾックは問題を出す。
…いつもとは違った形で。
「…なに?」
「…お前はこれからどうするつもりだ?」
「…え?」
「「帰る」「帰らない」の2択問題じゃない。そんな答えがほしいわけじゃない。その後のことだ。」
そりゃあ…学校に行って、友達に会って…。
「…この問題に制限時間はない。あせらせてしまうと、間違った答えをだしてしまうだろうからな。…まあ、ゆっくり考えろ。」
…
「ただひとつ。これだけはいっておく。」
「…?」
「その答えを導きだせたなら、その答えを信じて進め。だが、もし、間違っていると思ったなら||一度考え直せ。…答えはひとつじゃないこともある。」
…
「…オレっちからはそれだけだ。…悪かったな。」
そういいのこすと、ナゾックはワープホールをつくり。落ちていった。
ひとつのカードを残して。
ナゾックのトレードマーク。
しずくの形のクイズカードだ。
でも…いつもと違う。
いつもなら、このクイズカードを飛ばして、体の中に入ってくる。
そして。「デレレレレン!うえからビョーブ!したからテンジョウ!これってなんだろなー!?」
というように。「ムリヤリ」クイズが始まる。
しかも、頭の中で。
一応、周りの音は聞こえるけど。
周りのものは見えず、そのクイズしか|見えなくなる。
結局。この答えは俺にはわからなくて…。りーすの知識に助けられたが…。
でも、今、考えても。あのときの俺には無理だよ。
そんなことを思い出しながら。
残していったクイズカードを拾い上げた。
そこには。
゛そう。 みつけろよ な
オレたちのはるの正解をよう。
とだけかかれていた。
後は裏に。
あると思っていた。
いつのまにか当たり前になっていたいつものクイズカード。
正解したらごほうびがもらえる。
間違ったら渋々答えを教えてくれる。
敵の時も仲間の時もそれは変わらなかった。。
ナゾックが仲間になってからは、実はこのクイズが楽しみになっていた。
そんないつものこと。
それが…今はなかった。
…カードがあるときはクイズの時だけ。それがナゾックのルール。…そのはずだ。
ということは、もしかしたら。
これは自分のルールをねじ曲げてまで伝えたかった…。
…あいつなりの想いで。
受けとるかどうかはお前が決めろ。
ってことなのかもな…。
そう…感じて。
俺はその想いを受け入れた。
…
「ハル…。」
…!りーす…。
気がつくと、りーすが何か、覚悟を決めたかのようにこっちをみていた。
「ボクは…すこしわがままだったんだね…。」
「りーす?」
「…ハル。ごめん。…ボク、ハルが決めたことなら応援するよ!…もちろん、ボクはハルとまだいっしょにい…っ!」
…!
「…ううん。…みんなだってハルと離れたくないわけじゃないけど…。ハルの気持ちはよく分かるから…みんな自分なりにハルへの想いを伝えてる。」
…。
ハルにはハルの大切なところがある。
帰るべき場所がある。
それは止めちゃいけないこと。
ハル…。ハルと、…ううん。みんなといっしょに過ごせて。本当に楽しかった。
ハル。ありがとう。
…君にあえて良かった。
…ラッサーガ。ハル。
…俺は今。走っている。
りーすの…いや、みんなの想いを無駄にしないためにも。
みんなと過ごしたこの世界。
心の呪縛を解き放って。
紡いできた言葉。
共に乗り越えてきた問題。
…
みんなへの伝えきれないほどの色んな感情がごちゃ混ぜになりながら。
この世界での俺の最後の力を使った。
…ここまでありがとう。
…ラッサーガ。みんな。
力が発揮されたことを確認すると。
覚悟を決めて。
始まりの導へと向かった。
…
「別れはきちんと済ませたようだな。」
始まりの導には俺をこの世界へ連れてきた男がそこにいた。ローブをまとっているせいで顔は見えないけど。
「…ああ。」
「そうか…。セイタロウよ!」
「…」
「数多の冒険を終え、よくぞここまで…」
「ちょっと待った。一つ聞かせてくれ。」
「…む、お前に与えた力のことだな?」
「…ああ。あの力は…。」
「そのまま持っていくがよい。」
「…え?あの力、俺の世界でも使えるのかよ?」
「うむ。…だがここで覚えた魔効などは使えん。」
「…そうか。まあ、どのみちどちらも使うわけにはいかないけどな。」
「…なぜだ?」
「なぜって…あの力、俺のいた世界で使ったら大変なことになるって。」
「…こちらで、さんざん好き勝手してたやつが言うことか…。」
「…。」
「こちらでさんざん好き勝手してたやつが言うことか。」
…うん。…まあ、そうだな。
「…念のために聞いておくが。」
「?」
「その力の意味。あやつらと一緒にいたにも関わらずまだ分かっていないわけなかろうな?」
「…なんのことだ?」
「」
…?
「…まあ、よいわ。」
「…いいのか?」
「…いずれ、気づくと信じておるよ。」
そういうと、男は。
俺の前に立ち。
「お前を元の世界へと|帰す。…よいな?」
「ああ、頼む。」
「では…。こちらにくる、少し前の時間へ!」
〈イーリースガル…マジネード…!!!〉
そういうと。俺の後ろにの魔力の渦が現れた。
俺の体は引っ張られていく。
この世界ともバイバイだ。
徐々に自分に与えられた力が薄れていくのを感じる。
…。あ。
「いい忘れてたけど…!」
「?」
「お前はともかくこの世界は最高だったぞ!ラッサーガ!セカリ!」
「…そうか、良かった!…ラッサーガ!セイタロー!/'(∋♗∈)'/」
…この世界での旅は終わったとしても。
俺はこの世界の想いと共に。
進んでいく。
終わりじゃない。始まりだ。
俺たちの新しい旅の…な。
君の世界が優しいはなしの世界でありますように。