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物語の価値
「こぇ……くるひっ……」
わたしのノドがおとうさんの両手でしめ上げられる。
いつもはもっと気をつけて、首にアザがつかないようにしめるのに、きょうはそのかげんがなかった。
いつもよりひどくよっているようだった。
壁に押し付けられて、わたしの足は地面につかない。しめられた首だけが支えになって体が浮いている。
こわくてこわくて、どうにか足を地面につけようとじたばたもがいても、おとうさんがわたしを壁に押さえつけてノドがもっとしまるだけ。
頭がもうろうとしてきて、吐き気がのどまで上がってくるけれど、しめられた首で止まっていた。
頭から血が失われていくのがわかる。自分の髪の重さに首が負けて曲がる。
目に入るのは点滅している蛍光灯、香るのは食べ物が腐った臭い。耳鳴りがひどい。
あたりには、おとうさんが火をつけた、きらきらした結晶が煙になって立ち込めている。
なんでうまれてきたのかな。
わたしにはおとうさんしかいないのに。
だれか——




