5枚目
「……腹減った」
ギャラハットの疑惑も晴れ、安心したのか食欲がわいてくる。同時に俺の腹も鳴り、何とも言えない音が部屋に響く。
「そういえば、もうご飯の時間ですね。下の階にキッチンがあるので、そこで食べましょう」
机の上に置いてある時計を見ると、時刻は八時を過ぎていた。俺はどれくらい寝ていたんだろう。そんなことを考えながら、部屋を後にした。
階段を下りて食べるスペースであろう椅子に座る。ふと窓を見ると、柔らかい日差しが差し込んでいる。夜の八時じゃなくてよかったと俺はホッとした。
「アイライトくん。朝ごはん、何食べたいですか?」
エプロンを身に包み、フライパンを持ったギャラハットが聞いてくる。なんだか母親みたいだ。もちろん俺の母さんみたいという意味ではなく、世間一般の母親である。
「特に思いつかないから、お前のオススメでいい」
「分かりました!」
ギャラハットが嬉々として料理に取りかかり、俺は特にすることもないのでボーッとする。本当はパンケーキやエッグベネディクトという、豪華で高カロリーな物も食べたかったがまた今度にしよう。
「できましたよ。冷めないうちにどうぞ」
そこまで時間はかからずに、ギャラハットが自ら作った料理を持ってくる。カリカリのベーコンエッグにトースト。フルーツや牛乳など、見た目や匂いはかなり美味しそうだ。
「……いただきます」
「いただきます」
向かい合って椅子に腰をかけ、朝ごはんにありつける。ギャラハットは上品に食べているのに対し、俺は下手くそだった。そもそもスプーンとフォークなんて、まともに使った試しがない。
「ボクの作った料理は口に合いましたか?」
ギャラハットの優しい声と美味しい料理に、何かこみ上げてくるものがある。気がつけば、自分が泣いていることに気づいた。涙が頬につたっていたのが、声をあげて泣いてしまう。
そんな俺をバカにせず、ギャラハットは俺が泣き止むまでずっと待ってくれていたのだった。