19枚目
「アイライトくん、待ってください!」
ギャラハットの声が聞こえても俺は必死に走る。あんな奴に一生関わるもんか。呼吸が苦しくなり、恐怖と苦痛がごちゃ混ぜになっておかしくなりそうになる。
「待てって言っているのが聞こえな」
ギャラハットが言い終わる前に、エンジンをかけたバイクの爆音で声はかき消された。俺とギャラハットの間を裂くようにして現れたそいつは、ヘルメットを脱いで俺達の前に現れた。
「……ガキが火遊びしてんじゃねぇよ」
「ヴィネット!」
ヴィネットは以前俺を匿ってくれた、オネエでゴリラなバーのママだ。いつもの気色悪い口調じゃなかったのが少し気になるが、この際どうでもいい。
「アイライトくんの知り合いのようですが、邪魔しないでください」
「それはこっちの台詞よ!」
ヴィネットはギャラハットのナイフをもろともせずに、ギャラハットの手首と腹を思いっきり蹴った。ナイフは地べたに落ち、ギャラハットはあまりの衝撃に立ち上がれずにいる。
「ふ……くそ……」
「何ボケッとしてんのよアイちゃん、ずらかるわよ!」
この光景を見ていた俺はヴィネットに手を引っ張られ、されるがままにバイクの後ろに乗る。
「つかまりなさい!」
ヴィネットが爆音を轟かせながらエンジンを切り、俺は炎に包まれていく孤児院とギャラハットを見つめながら家を去った。




