14枚目
一緒に夜食を囲み、アルトとはだいぶ打ち解けた。連絡先も交換し、仲良くなりすぎたって思うほどたくさん話すようになった。
これはかなりさい先がいい。正直言うと、ギャラハットのことなんか忘れていたほどだ。そうだ、今はあいつのことなんか忘れて、少しは羽目を外してもいいのではないのだろうか。
「俺、ちょっとは幸せになれたかな……」
「どういう、こと……?」
ついそんなことを俺は口に出してしまう。アルトも興味があるようで、追加したポテトを食べながら俺に聞いた。
「俺、友達に引き取られるまでに辛い思いをしてたんだ。引き取られてから幸せな日々を送っていると思ってたんだが、お前と出会ってもっと幸せになった」
「そ、その……。ありがとう」
こんなにスラスラと喋ったのは何年ぶりだろうか。自分でも驚くほどに、今日は機嫌が良い。最後は少し照れくさかったが、笑えることができたと思う。
「いえいえ。こちら、こそ……!」
アルトも笑ってくれて心地良い気分になる。友達ができて本当に嬉しい。幼稚な感想しか言えないけれど、本当に心からそう思った。
かれこれ一時間が過ぎ、孤児院に帰ることも忘れてしまっていた。スマホで時刻を確認し、慌てて帰る準備をする。
「ヤバい、そろそろ帰らねぇと」
「ん。分かっ、た。またね」
アルトは手を振り、俺が帰るまで見守ってくれた。もし、また会う時があるのならば、今度はギャラハットと一緒に飯を囲みたい。
「あぁ、またな」
俺はもう一度アルトの頭を撫で、孤児院へと帰っていった。