13枚目
コラボ②です 2019.8.4
「四十番の方ー、ご注文の品が出来上がりました。受け取りまで来て下さい」
「は、はい」
店員に呼ばれて我に返る。意外と早く出来たなと思いつつ、注文した食べ物が乗ったトレーを受け取った。
どの席に座ろうか悩む。けれど、やはりあの大量のジャンクフードを食べている子供が気になった。相席になるのは勇気がいるが、ここは自然を装って椅子に座ろう。
「……」
斜めの対角に俺が座り、子供はもくもくとバーガーに食らいついている。小柄だが、胃袋は相当でかいのだと感じさせる。
「んぐ」
白髪でオッドアイの子供がハンバーガーを頬張りながら、俺にポテトを渡す。初対面なのに動じないのが尊敬した。
「あ、ありがとう」
自分が注文したよりも先に、もらったポテトを食べる。うん、美味しい。やはりモックのポテトは病みつきになる。
「……お前、いい奴だな」
にっこり笑顔ではなく、薄く微笑んだ……つもりだ。俺はちゃんと笑えているだろうか。
「そ、そんなこと……ない」
白髪は照れたようで、たどたどしい口調で話す。客観的に見ると可愛らしく、本当に俺と同年代なのか不安になる。
「俺はアイライト。お前は?」
すると白髪は首をかしげ、何のことか分からない顔をする。こういう奴が愛されるんだろうな、としみじみ思う。
「お前の名前。教えてくれ」
「え、えっと……。アルト・コントラルト。よろ、しく」
そう言ってアルトがはにかんだ。俺でも可愛いと思うのだから、世の中の一部の人たちには好みにぶっ刺さるのだろう。可愛いは正義とか言う奴だ。
「あぁ、よろしくな」
俺は不器用ながらにアルトの頭を撫で、アルトが嬉しそうに笑う。なんと言うか、守りたくなるような子供だった。