〜 伝説の胎動 〜 第零話・第一話
こんにちは。
初めまして雛仲 まひるです。
拙い作品ではありますが楽しんで頂けると嬉しいです。
では
ゴーレム始まるよ。
†GATE00 伝説は未来から始まった。
碑文の件
そのもの 鬼神を操る者なり
七つの鍵を持ちて 七つの門開かれしとき
舞い降りる そのもの 七つの力揃えしとき
鬼神となり現れん
そのもの……。
世に救いをもたらすものなり
そして、もう一体。
〜 伝説の胎動編 〜
序章
†GATE1 崩壊の足音
薄暗い部屋に物々しい機材が、ずらりと並び多彩な色の光を放ち、壁には外の様子が映し出されている巨大なモニタが据えられている。
モニタが外の様子を映し出す薄暗いブリッジに、けたたましい音が鳴り響き、辺りは血の色に変わった。
「レッドアラート発令、レッドアラート発令、コンディションイエローからコンディションレッドに移行します。総員速やかに所定の位置へ。繰り返す――」
警報音が鳴り響く中、怒鳴るように一人の次元空間管制官が声張り上げた。
「艦長! 混沌、規模拡大、次元空間結界、維持出来ません」
「ここまでか」世界は終わる。
世界は呑み込まれる。
それは即ち、世界の崩壊を意味し次元空間の崩壊と共にこの世の全てが無に帰す――。
物々しい騒ぎの中、旗艦アルバトロス艦長が静かに口を開いた。
「あれはまだか……」
微かな希望で射出担当管制官に確認を取った。
「NOA立ち上げシークゥエンス全体の七十パーセントをクリア APU定格起動中」
「そうか……」
艦長は、ぽつりと言い残し胸の中で呟いた。
(そんなものあてにならん)
出せたとしても効果の予想も出来ない。
“NOA”発見と共に得られた“ナイト・オブ・ウェポン”と“魔法”そして……。
もう一つ“ナイト・オブ・ドラゴン”二体機神の。
その英知を結集し融合された最終兵器と太古の産物、NOAの改装。
科学的にも歴史的根拠の無い過去の産物を模しただけのもの。
しかし……。
「NOA機動まで後、三千六百秒。NOA射出リニアカタパルト機動シークゥエンス開始します」
「前方に重力振多数確認!
……この反応は……敵です! 迎撃許可を!」
NOAの撃ち出し施設の護衛を担う第七艦隊の旗艦アルバトロスのクルーが指示を求めた。「これまでか」
どこまでも冷静な声で司令官は意を決したかの様に呟き声を発した。
(いや、ならば、これだけでも我ら人類の希望と存続を、未来に……我等の種子を繋げる)
「勇敢なる諸君! これより我が第七艦隊の総力を賭けてNOA射出防衛と敵の迎撃戦に移る、全艦オールウェポンズフリー」
旗艦アルバトロス艦長は全艦に宛て命令を伝えた。
「結界維持、復旧行動を中止、これより最終コード『NOA』に移行する」
「了解!」
「了解!」
「了―解!」
それぞれの覚悟と決意の籠る声が上がった。
絶望が迫る中、誰一人として取り乱す者はいなかった。
伝説の件と共に唯一残された太古の産物『NOA』は最先端の『科学』でも検知、解析、解読出来ず謎は多い。
どの様な素材で出来ているのか、何時から存在したのかさえ解らない代物であった。
なんとしてでもNOAを送り出す。
それが、ここにいる者達の使命。
決意に満ちた声で傍に立つ副官が復唱した。
「これより最終コードNOAに移行する。作戦名はファクター」
各担当部署から一斉に声が上がった。
「了解!」
その場の全員の声が響き、迅速に行動に移る。
「急げ! 時間はないぞ」
誰かがそう叫んだ。
「次元空間ゲート準備」
「各システム確認異常なし」
「各パラメーター異常なし」
「システム正常に稼動中」「時間軸、座標軸入力」
「放出目標点、次元空間軸固定」
クルーの思いは一つ、願いは一つ、それが自分達の未来。
慌しく飛び交う声の中、ふと、艦長は思う。
僅かに口元が緩んだ事に気付く。
こんな時に……自分でも不思議に感じる。何故、この様な事を思うのか。
伝説か……。
古より伝承、口伝、記述、物語の中の存在。
その真の痕跡すら無いまま伝わり続く『奇跡の力』とNOAの存在。
それを模して最先端の科学の英知、NOAから知り得た魔法の英知を駆使して人類が作り上げた最終決戦兵器。
“ナイト・オブ・ウェポン”
宙に次元空間を開く光輝く魔法陣が浮かび上がる。
「NOAシステムオールグリーン!機動完了しました」
部下の声で艦長は我に帰り命令を下す。
「次元空間ゲート開け! NOA放しゅ……」
その時、一人のクルーが叫んだ。
「艦長! 待ってください!」
時間はそう残されて無い。
艦長が焦りの混じる声で確認した。
「どうした」
一気に周りの空気が固まる中、次元空間管制官が焦りの声で答えた。
「次元空間軸固定位置、外れていきます」
「なんだと――!」
艦長が怒鳴るような声を上張り上げた。
「原因は、何か!」
「は、はい、次元空間崩壊の規模拡大、速度共に早く、自動修正システム許容範囲を越えています」
次元空間崩壊に伴う強力な磁場で安定できないどころか大きくぶれる。
このまま放出すればNOAが、どの次元に放たれるか解らない。
迷っている時間は無い。
司令官は意を決し言い放つ。
「構わん! NOA射出」
「了、了解」
「NOA射出します」
その場の全員が願う。
種子は飛んだ。
どうか無事に……。
我らの未来を……。
直後、混沌を中心に光と闇が溢れ世界は崩壊した。
To Be Continued
最後までお付き合い下さいまして誠にありがとうございました。<(_ _)>