53.
__だから、別の方法を取ることにしたんだ。
唯がそう言った。
視界が揺れ始める。
唯は、ため息をついた。お前をこちらに連れてくるのは本当に大変だったよ。途中、私自身も記憶を失ったり、魂のみになったりと大変だった。けれど、そこまでして苦労して翠をお前から遠ざけようとしても、翠はお前を見つけ出してしまう。どのようなルートを辿っても、お前は翠を消滅させる。
もう、私は、絶望しているんだ。この気持ちはお前を消滅させるだけではおさまらない。
初めは、小鬼に渡しておいたお前の手記を餌にしてお前を黄泉の国に送る手はずだった。お前の力があちらで強くなり始めていたのは気づいていたし、あの場に水の精霊が居なくとも、私の通行許可証さえ手にしていればお前はこちらに来る。若しくはそこまでたどり着けなくて消滅するはずだった。
……それなのに。
翠は、間に合ってしまった。そして、お前を助けるようにこちらに同時にたどり着いてしまった。
お前があちらで色々な不思議に遭遇したのは私があらかじめ記憶を失ったお前がこちらの世界に来たくなるためのいくつもの餌だった。
唯という少女との記憶もお前と優美の中に植え付けた。洞窟でお前が消滅しそうになり、水の精霊に出会うはじめのパターンを記憶を書き換えることによって歪めた。
いくつもいくつも可能性をつぶしてきたのに!翠はまた消滅した!
お前のせいだ!でも憎み切れない!と唯は蹲る。
……おれは、すごく澄んだ気持ちでその様子を眺めると、俺、最後までこんなんかと苦笑しながら、意識を手放した。
後、数話……すこし書きすぎても数十話で完結となります。今日中に完結出来るように動きますが、無理でしたら、明日いっぱいでの完結となります。
それまで、もう少々お付き合い頂ければ幸いです。




