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声を拾って  作者:
48/60

47.「赤い髪の強気美女」

辺りに濃い霧が立ち込めてきたと思ったら、何か、キィ……キィ……という木がきしむ音と、チャポンチャポン……という水の音が聞こえて来た。


渡し船がこちら側に来ているのだとわかる。


やがて、キィと、言う音と、ミシッという僅かに木がきしむ音がした。

きっと、渡し場に船がついたのだろう。


俺は、霧の向こうを目を凝らすように見つめる。

カツンカツンという靴の音だろうか、硬質な音だが少し軽い足音が聞こえて来た。

霧が晴れた時そこに居たのは、やたらスタイルの良い、勝気な目をした……否、強気なオーラの美女だった。

高い位置でポニーテールに括った赤い髪がさらっと揺れる。


彼女は、俺が見えるところまで颯爽と歩いてくると、ずざっと腰に手を当てて、仁王立ちした。


(……あ、俺、このしぐさしってるわ~)

既に冷や汗が首筋から流れることを意識し始めた俺の元に彼女のたたきつけるような声が届いた。


「遅い!のろま!クズ!バカ!」


俺は、初対面で何故か美女に罵倒されているが、普通なら怒りが感じるだろう所、俺の幼い頃に植え付けられた侍従精神……もとい、奴隷精神がそうさせてはくれない……。


俺は、ここに来るのもしかして誤りだったかなぁ……と思い始めていた。

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