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声を拾って  作者:
45/60

44.

横と天井の天窓を開け、部屋に風を入れる。

さぁっと青白い月明かりが差し込む。


本棚から気になる本をいくつか手にすると机に置き、本を開いた。

ふわりと、何故か懐かしい匂いが漂った気がして、胸に迫ってきたものがあった。


本の隙間に挟まっていたのは、見たことの無い、白い花だった。桔梗の花に似ているが、少しだけ違う気がする。押し花にされていたそれは、押し花にされてもまだ、強い香りを放っていた。


なにか頭の奥を何か大事な記憶が過ぎ去ったような気がした。

気になった本は、薄い手書きの日記のようだった。

女性の字だと思う。ところどころかすれているが、あまり強くないかすれた筆跡と、流麗な仮名がところどころ見られる。漢字はほぼ使われてはいなかった。


どうやら、読めそうだと少し安堵した俺は、数行その日記に目を通して、


……水滴がページの上にポタリと落ちたのを気づいた。

その数秒後にその水滴が俺の顔から流れていることに気づく。


眼尻から伝う水滴。


何故そうなるのか理解できないまま、俺は何故か胸に迫るなつかしさに、蹲った。





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