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声を拾って  作者:
43/60

42.

※初めてのブックマーク、有難う御座います。結末まで進むことのみを考えて執筆を続けておりますが、この主人公の態度、どうなのよ。このヒロインの対応どうなのよ。と、作者本人は、頭を抱えそうな感じになりつつあります。作者本人の人柄が馬鹿野郎なせいだと思いますが、どうか温かい目で最後までお付き合い頂ければ幸いでございます。嬉しく思い、最後まで進んでいこうと思います。

「ところで、さ」

祐樹がどこか思わせぶりな様子で、俺と遥をちょいちょいと手招きして顔を寄せてきた。

俺と遥は訝し気な顔をして、でも、素直に顔を寄せる。

すると、祐樹は、にかっと笑って、あるものを俺の机に置いた。自然、俺と遥はそれに目を引き付けられて、俺は、”それ”を、目にした瞬間に、顔を青ざめさせた。


……何であれがこんなところに……


俺は、ギッと、祐樹の方を気づいたらにらみつけていた。

「……お前、これをどこで見つけたんだ?」

知らず、低い声が出る。


俺の反応に驚愕したように目を見開いて祐樹が言った。


「……なにって……俺のばあちゃんが骨董屋やっててさ、質屋流れで家に来た代物っつうか……なに?怜、これ知ってんの?」


それは、和紙を幾重も張り付けて厚くし、厳重にあつらえたような古ぼけた茶色い何かだった。

けれど、それを俺は知っている。


唯という少女が、俺に向かって、誇らしげに見せたのはいつだったか……


……ああ、これは、”あの”例の記憶だ。俺の今の現実にはない筈の例の、でも俺には過去に思えるあの妙な記憶の一部。


その中で、確かに唯という少女は誇らしげに言ったのだった。


「これは、わたしがみつけたんだから、わたしのものよ」


小さな手に握られていたのは、今目の前にある”それ”と、厚みのある子供の手にはとても大きな大振りの本。


中に描かれていたのは美しい女性の挿絵と読むことの出来ない流麗な文字らしい連なり。


洋風の部屋。ああ、あそこは祖母の家の”絶対に入ってはならないと禁止されていた部屋”だ。


そう、それは。


「このきょかしょうはわたしのものなのだから!わたしがおばあちゃんにあいにいくのだから!」


泣き止まない女の子。



……これは、唯のものだ。


「祐樹、それ、俺に譲ってくれないか?」

「は……?え、でも……」

「金か?金なら言い値で出す。もし足りなかったら、働いて渡す。譲ってくれ」


唖然とした顔で頷いた祐樹に俺は有難うと返して、それを苦い顔で見つめた。

出会ってしまった。と、そう思った。


それが、唯という少女が出てくる記憶と今がつながった瞬間だった。

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