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声を拾って  作者:
40/60

39.

_俺の目の前に繰り返される罪や人の汚い部分。

それらがスライドショーのように俺の周りで上映される。

俺が外に一歩出たその日から。


祐樹に指摘された、その日から、それは更に酷くなり始めた。

どこに居ても、見えてしまう。

そして、それは更に見えるはずのないものまで俺の前に見せてくる。

それらの独白ともいえる心情ともいえるそれ。


苦しみながらのものもいれば、

狂気に染まったものまで。


それは、千差万別で、それは多種多様で、それは俺の精神を攻撃するには充分な内容だった。


……大丈夫か……?

そう、俺に缶コーヒーを放ってきたのは、浩二さんだ。

何をしている人なのかは知らない。

ただ、やたら渋い人で、やたら鋭い人で、俺が弱った時に何故かめぐり合わせるような人だ。

俺は、今回もそうだったと、空を仰ぐようなポーズを取りたくなった。


「……何でいるんすか」

……こんな何もない所に

言外にそんな言葉を込めて、俺は恨み言をつぶやくように上目遣いで彼、浩二さんのやたらなにもかもわかっているような目に反発しそうになりながら言った。


「……あほか。お前が、だ。なんでこんなところに居る?俺は見ての通り張り込みだ。しかもやばいやつのな」


薄暗いホテル街の路地裏の隙間。積まれたゴミ。

確かにそうだ。こんなところ、猫すらくるかどうかしらねえ。


「……見えてしまったんす。俺のダチが巻き込まれているところを」

観念したようにそう呟く。


「……はっ、お前みたいなガキがな やめとけ。俺にそれを聞かせてくれたら、情報料としていくらかやっても構わねえぞ」


いつもの取引だ。


俺は、頷いた。


「それじゃ、お願いします。これから三十分後に、ここに犯人がくるんで」


言外に捕まえてくれ。という。


そこから先は口にする気はない。

その先も見えているからだ。


ちっと、浩二さんは舌打ちをした。煙草に火をつけたばかりだからだろう。携帯灰皿にそれを押し込むと、そうかとだけ言った。



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