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声を拾って  作者:
39/60

38.

絶望した人間は何というだろう

時間を戻してくれ、というだろうか

あの時に戻れればと、後悔するのだろうか


……そうだとしたら、俺はきっと絶望した人間だったのだろう

きっとこの生の中の苦しみは、因果応報なのだろう

……けれど、俺は、それでも、愚かな人間で、ずるく弱い人間で、

やっぱり、俺は運命を悲嘆するのだ 憎むのだ

因果応報だというのに……否、そういう人間だからこそ、因果の鎖は俺を離さないのか


もし、あの時、あの人に会わなければとか

もし、あの時、この道を通らなければとか


そんなたくさんの後悔など、いくらでもしているのだ

過去を戻せないそんなことなど、当たり前の皆、している後悔だ


なぁ、どこで間違えたんだろう

俺は、どこで間違えたんだろうか


きっと、神様という人間が居たなら、

そんな俺の薄汚い醜さを衆目のもとに晒したくなったのだろうか


そうだとしたなら、なんて親切な神様なんだろうか

俺は神様に対して、きっと、有難うというだろう


人の罪や、咎なんてものを愛したくなっている自分が居る

なぁ、人は間違えるものだろう

なぁ、人は繰り返し繰り返し

そういうものだろう


聖人君子のような生き方に憧れるか

綺麗な心に憧れるか

憧れない人もいるだろう


対極にあるそれに

惹かれないものもいるのだろう


けれど、俺はそれに惹かれてしまった

そして惹かれてしまった以上


俺はきっと、それを愛したくなってしまうのだ


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