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声を拾って  作者:
38/60

37.「リンクするみたものたち」

俺は、学校が終わってから今朝までの……ほぼ既に習慣化されている記録という名の尋問を受けていた。

これは俺があの幻覚を見始めてからほぼ毎日続けられている。


「ふぅ。なるほどね。いや、やっぱりすごいわ」

祐樹が我が意を得たり!と、満足げに頷いたのを見て、遥が大柄な身体をひょいっと屈めて、祐樹の記録ノートを覗き込んだ。


……俺は、朝の儀式も済ませ、空を見ることも飽きて……今日は、雲がひとつもないどんよりとした微妙な色合いの灰色っぽい空だった。机に突っ伏した。授業が始まるまで眠る体制に入る。

俺の様子などお構いなしに、友人二人は何やら熱心に囁きあっている。15にもなって、妙なものに夢中になるのだなんて変わってんなぁ。と俺は思っていると、


ふと、息をのんだような気配がして、いやいや、顔を上げた。すると、少々遥は顔を青ざめさせて、祐樹は頬をバラ色に蒸気させて、俺を見ている。なんだ!?と思わず顔をそらした俺に向かって、祐樹は知りたくもなかった事実を俺に告げた。ああ、俺は知りたくなんてなかったよ。


「怜って、やっぱり、本物だな!怜が見てきたものは、予知だ」


は……?


俺は、数秒間程、本当に頭が真っ白になったと思う。これ以上俺の周りで変な現象が起きてくれるなと俺は願っているのに、更に飛び込んだ異質な言葉。


固まった俺に構わず、祐樹は、記録ノートに書きこまれた微細で意外にも几帳面に整理されたノートを広げてきた。こいつはこう見えて几帳面で真面目、しかも好きなことにかけては情熱をかける人間だった。その人間が、きらきらと目を輝かせながらこう、のたまってくださった。


「……これはすごいことだよ!怜、ここまで精巧な予知は初めてみた。怜が見た4時間後に、必ずその事件がニュースとして取り上げられてる」


「……アホか。何を言うかと思ったら。偶然だろ?オカルト好きもいい加減にしろよ。俺は寝るぞ」


ちらっとみた、祐樹のノートには、俺が見た時刻と、実際あった事件とが、並べて書かれている。恐ろしいことに細部まで似通った、そのままが。これが近所で起きた事件なら、俺が犯人として警察に疑われるレベルだ。言葉とは裏腹に俺の心臓はばくばくとうるさかった。

遥の射貫くような目が俺を見つめているのが感覚的にわかる。


「……!すげえよ!俺と一緒に将来探偵事務所つくろうぜ!正真正銘心霊探偵だ!がっぽがっぽ儲けようぜ!」

将来は億万長者も夢じゃねえ!と興奮しながら、ウハウハ言っている祐樹の能天気さに救われた気分で、俺はうつぶせになりながら苦笑した。


服の下では冷や汗が止まらなかった。


わかっていたのだ。”夢や幻覚で済まされない事実が突き付けられ始めていることに”

俺の周りを”夢や幻覚であるはずのそれが現実を脅かし始めている足音が聞こえてくるような気がした”


……それは、恐ろしい程の恐怖だ


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