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声を拾って  作者:
35/60

34.

俺は、ふらふらした頭を無理やりなだめながら、学校に向かった。意外に見えるらしいが(俺の知り合いはみなそういう)俺は、意外と成績が良い。遅刻欠席もしたことが無い。素行も(自分でいうのも変な話だが)悪くはない。決して目立つこともないが、地味すぎもしない。普通だ。俺の知り合いは、その普通が異常だという。(なんでだ)

まぁ、意味不明なことを周りから言われたり、意味もなく嫌われたり、何故か異物扱いされるのは最早俺にとっては当たり前の日常だ。


通りすがりの知らない人に驚愕した目で見られ、知らない人がいきなり泣きついてくるのも今に始まったことじゃない。


ただ、今日ばかりはそんな異質も少しばかり様子が違っていた。


学校の近くまで来ると、みょうに人だかりがあることに気づく。

なにかがおかしい。


ふっと屋上になにか影があるように見えた。

_と、思った時には、それは緩いカーブを描くように

地面に落下していく。


何故か、制服のセーラー服のスカートのひだが揺れて、赤いスカーフの先がふわっとした瞬間をスローモーションで止めてしまったように断片的に記憶に灯った。


落ちた。と認識するよりも先に、俺はそこに駆けだしていた。


……そして、唖然とする。先程まであった人だかりが、まったくなくなってしまっていた。

地面にも何も異常はない。

早朝の少し肌寒い空気があるだけだ。

正門でうろんげに教師に見つめられ、慌てて会釈を返し、教室に向かった。



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